新世紀黙示録MMR Resurrection
石垣ゆうき 講談社 ¥486
(2014年4月17日発売)
グッと力を込めて、テーブルの上に「いや……」と握られる拳の絵。それをめくると、1ページぶち抜きで、「ノストラダムスは1999年に 世界が滅びるとは言ってない!!」という信じられない台詞が!
その往年の「ドン演出」(擬音が「ドン」と描かれているのだ!)に、 腰が抜けるというか、腰が砕けるというか、腰が笑うというか……。いやはや、いろんな意味で当てられてしまうこと必至だ。
超常現象を調査するルポ漫画として、90年代の「週刊少年マガジン」で人気を博した『MMR マガジンミステリー調査班』が復活!! あのキバヤシやナワヤたちが、新たにノストラダムス予言の解釈に取り組むべく帰ってきた。
オカルトネタは創刊当時からのマガジンの伝統芸だが、『MMR』の構成と演出も、もはやその域。首をひねるか、首を激しく縦に振るのか読む人それぞれとして、そのネタとストーリーテリングにはグイグイ引き込まれていってしまう。そもそも、「2012年に 世界は滅びない――!!」に始まる様々な提示以上に、『MMR』の復活自体が衝撃的だ。
しかし、出オチと思うことなかれ、出どこが今だからこその社会性もあって、出色のエンターテイメントになっている。このいい意味でのハッタリ感とワクワク感。作品性は変化球でもおもしろさは直球で、少年マンガはこうじゃないと!
<文・渡辺水央>
マンガ・映画・アニメライター。編集を務める映画誌『ぴあMovie Special 2014 Summer』が6月5日に発売に。DVD&Blu-ray『一週間フレンズ。』ブックレットも手掛けています。