話題の“あの”マンガの魅力を、作中カットとともにたっぷり紹介するロングレビュー。ときには漫画家ご本人からのコメントも!
今回紹介するのは『僕と君の大切な話』
『僕と君の大切な話』著者のろびこ先生から、コメントをいただきました!
『僕と君の大切な話』第1巻
ろびこ 講談社 ¥429+税
(2016年3月11日発売)
駅のホームで行きかう電車をながめながら、「どうして男は戦いが好きなの?」と(弟のマンガを読んで)問う女と、「(少女マンガは)古今東西 男女の色恋沙汰だ」と切り捨てる男。
上記のやり取りは、『このマンガがすごい!2010』本誌にてオンナ編第5位を獲得している極上の少女マンガ『となりの怪物くん』の作者・ろびこ先生によるものだ。
「デザート」での新連載作の出だしから、そんなことを言わせていいんですか!?
物議を醸しそうなこの会話は、なんと平和台高校の相沢のぞみが同学年で別クラスの東司朗(あずま・しろう)へ告白するための糸口だったのだ。
しかも、その恋の行方は意外な方向へ。
男性に不慣れな相沢さんは、学内でなかなか話しかけられず、東くんの持ち物をひそかにキープして、彼の行動を尾行し逐一チェックするストーカー体質だ。
東くんは王道のツンデレ系メガネ男子で、相沢さんの告白に対してまわりくどい(しかも少々オタクっぽい)たとえでダメ出しする。とはいえ完全な拒否ではなく、友だちから始めようとする、が……?
不思議なつながりが生まれた、2人の会話がおもしろい。
冒頭と同じく男女の差が話題の中心となり、東くんの女性への少々被害妄想気味な偏見には、男性ならば同意する点も少なくないのではないか。
それに対し、女の子が男の子に何を望むか言語化して解きほぐす相沢さんとのキャッチボールは、お互いにしっかり受け止めたり適当に転がしたりと気持ちいい。語りあって仲良くなっていくものの、最後にはなぜか強烈なオチがついて大笑いしてしまう。