「あの話題になっているアニメの原作を僕達はじつは知らない。」略して「あのアニ」。
アニメ、映画、ときには舞台、ミュージカル、展覧会……などなど、マンガだけでなく、様々なエンタメ作品を取り上げていく「このマンガがすごい!WEB」の新企画!
そう、これは「アニメを見ていると原作のマンガも読みたいような気もしてくるけれど、実際は手に取っていないアナタ」に贈る優しめのマンガガイドです。「このマンガがすごい!」ならではの視点で作品をレビュー! そしてもちろん、原作マンガやあわせて読みたいおすすめマンガ作品を紹介します!
今回紹介するのは、『マクロスΔ』
日本を代表するSFアニメの金字塔「マクロス」シリーズがテレビに帰ってきた!
というわけで、4月より絶賛放送中のシリーズ最新作『マクロスΔ(デルタ)』がおもしろくて仕方がない! と筆者のなかで早くも大ブームが巻き起こっているので、今回は本作のポイントを極私的にチェックしていきたいと思う。いくぜ! 過激にファイアー!
『Δ』は、前作『マクロスF』からおよそ8年後が舞台。突如人が狂暴化してしまう「ヴァール症候群」が猛威を振るう銀河の辺境にて、歌で狂暴化した人を鎮める戦術音楽ユニット「ワルキューレ」と、彼女たちを護衛するバルキリー部隊・Δ(デルタ)小隊の活躍を描く、というストーリーだ。
「マクロス」シリーズといえば、「バルキリー」、「歌」、そして「三角関係の恋愛」などの要素が毎回様々な形で取り入れられているが、本作『Δ』でもその伝統はばっちり健在。
主人公ハヤテ・インメルマンは、「マクロス」シリーズの顔ともいえる可変戦闘機バルキリーの新人パイロット。メカ操作に天賦の才を持つ彼は、第1話からバトロイド(バルキリーのロボット形態のこと)で華麗なブレイクダンスを披露するし、戦術音楽ユニット「ワルキューレ」にあこがれるヒロインのフレイア・ヴィオンは、戦闘に巻き込まれながらもばっちり歌いあげちゃうし(しかも、テンションが上がると額の触角みたいな“ルン”がピカピカ光っちゃうし)、のっけから目が離せない。
序盤のストーリーは、結果的にΔ小隊に加入したハヤテと、ワルキューレの新メンバーとなったフレイアの新人コンビが、お互いを励ましつつ切磋琢磨する姿が描かれる。これまでの「マクロス」シリーズではあまり見られなかったスポ根的な熱さを感じる。 そこに絡んでくるのが、もうひとりのヒロインであるミラージュ・ファリーナ・ジーナス。まさに堅物! といったミラージュは、当初はハヤテの加入に難色を示していたものの、彼の素直な心に徐々に気持ちを許しつつある様子……? このままハヤテ×ミラージュ×フレイアの三角関係に発展するのだろうか。
……という具合に、本作も「マクロス」らしさはバッチリ。しかし「伝統」だけで終わらないのが「マクロス」シリーズ。
「マクロス」シリーズに出てくる歌姫たちは、これまでは基本的にソロで登場していたが、先述のとおり本作では「ワルキューレ」というグループで登場する。さらに空を飛んだり、走りまわったり、ときには敵に飛びついて歌いまくる! つまり戦場というライブステージで、縦横無尽にパフォーマンスを繰り広げるという、かつてないほどアグレッシブな歌姫っぷりを見せてくれるのだ。
そしてΔ小隊のバルキリーもワルキューレを守るだけではなく、まるで彼女たちのライブを盛りあげるように音楽にあわせてド派手なアクションを見せてくれる。こんな「マクロス」は見たことがない!
あえて言うならば、AKB48とももクロのライブを足して2で割った感じだろうか。もしくは、河森正治総監督が2012年から2013年にかけて手がけた『AKB0048』のエッセンスを「マクロス」に導入した……といってもいいかもしれない。常に最新のムーブメントを取り入れアップデートし続ける「マクロス」ならではといったところか。
その一方で、古参「マクロス」ファンもニヤリとする要素がちりばめられているのも『Δ』の魅力。
初代『マクロス』に登場したバルキリー・VF-1や戦闘ポッド・リガードがガンガン活躍するシーンや、『マクロスF』のヒロイン・ランカの決めポーズ「キラッ☆」が飛び出したりと、まるでノリは「マクロス」カルトクイズ! アニオタの知識を試されているようで、これまた毎回目が離せない。
そして極めつけは、ミラージュの姓である「ジーナス」。彼女は、なんと初代『マクロス』に登場した天才パイロットのマクシミリアン・ジーナスの孫! ちなみに彼の娘であり、『マクロス7』ヒロインのミレーヌの姪っ子にあたるというのだ!
今後、初代やほかマクロス作品と『Δ』がどのようにクロスオーバーするのか、非常に楽しみである!
最後に音楽についても触れておきたい!
劇中ユニットのワルキューレは、本作の挿入歌はもちろんオープニング&エンディングの曲も担当。さらに早くも8月から9月にかけて、東名阪コンサートが決定している(詳細はコチラ)。毎回、アニメソングシーンを席巻する「マクロス」シリーズだが、ワルキューレの活躍にも期待がかかる!
『マクロスΔ』のアニメを観たあとは……
何を隠そう、「このマンガがすごい!WEB」は、マンガの情報サイト! そんなわけで、アニメ『マクロスΔ』を楽しんでいるアナタに、読んでほしいマンガを紹介しちゃいますよっ。
『超時空要塞マクロス THE FIRST』美樹本晴彦
『超時空要塞マクロス THE FIRST』第1巻
美樹本晴彦 KADOKAWA ¥560+税
(2009年11月5日発売)
シリーズの原点『超時空要塞マクロス』を最新の設定と新たな解釈で、キャラクターデザイナーの美樹本晴彦自身がコミカライズする『超時空要塞マクロス THE FIRST』。
本作の特徴は、TVシリーズをベースにしつつもキャラクターの魅力を掘り下げる新エピソードや、本編開始前の時代を描く外伝エピソードなど原作アニメを見たことがある人も新鮮な気持ちで楽しめることだ。
もうひとつ、つけくわえるなら、マクシミリアン・ジーナスや第2話、第3話で登場したバルキリーVF-1の活躍もばっちり描かれているので、『Δ』をより深く楽しむうえで読んでおいて損はないはず。
そのほか、大人っぽい恋愛ドラマが高い評価を得ている『マクロスプラス』のコミカライズ『マクロスプラス タックネーム』という作品も。こちらも一読することをオススメする!
『AKB0048 EPISODE0』河森正治・サテライト、美麻りん、秋元康
『AKB0048 EPISODE0』第1巻
河森正治・サテライト(作) 美麻りん(画) 秋元康(企画) 講談社 ¥429+税
(2012年04月27日発売)
先述のレビューでも少しふれたTVアニメ『AKB0048』。今回の『マクロスΔ』でその片鱗がうかがえるというのだから、これは取りあげるしかない! 紹介するのは、そのコミカライズ版『AKB0048 EPISODE0』。なかよしで連載された少女マンガだ。
星暦0041年、「AKB48」は「AKB0048」と名をかえて銀河系アイドルとして君臨していた。初代の神話性を守るために、外見、パフォーマンス、そして魂の輝きが初代メンバーに近しい者が選ばれ、襲名制で「前田敦子」「大島優子」など、レジェンドたちの名を継いでいた。そんな「AKB0048」を夢見る主人公・星空ふれあは、いつもやる気が空まわりのダメっ子研究生。襲名オーディションも大失敗に終わったと思った……が、なぜかふれあは「十二代目 前田敦子」の名を襲名することになり!?
三角関係はないものの、銀河を舞台にしたストーリー、メカ、そして音楽や歌の力の無限性など、本作で描かれているテーマはどれもが「マクロス」シリーズに通じる。歌って踊って、そして戦うアイドルユニットはここにもいた! ということで、「ワルキューレ」の魅力にすっかりトリコのあなたに必見の1冊だ。
マンガの紹介にあわせ、『マクロスΔ』コミカライズ情報も一挙にご紹介!
なんと4誌で連載がスタート♪ アニメといっしょにぜひチェックしてほしい!
■講談社「月刊少年シリウス」(4/26発売号より開始)
「マクロスΔ」
詳細はコチラから!→ http://shonen-sirius.com/sr/macross-delta/
■講談社「マガジンSPECIAL」(5/20発売号より開始)
「マクロスΔ外伝 マクロスE(エクストラ)」
詳細はコチラから!→ http://www.shonenmagazine.com/magasp/index.html
■一迅社「月刊ComicREX」(4/27発売号より開始)
「マクロスΔ 銀河を導く歌姫」
詳細はコチラから!→ http://www.ichijinsha.co.jp/stories/comic-rex/macrossdelta-2/
■一迅社「月刊Comicゼロサム」(4/28発売号より開始)
「マクロスΔ 黒き翼の白騎士」
詳細はコチラから!→ http://www.ichijinsha.co.jp/stories/comic-zerosum/macrossdelta/
<文・有田シュン>
ライター、編集者。シティコネクション所属。著書に『アウトサイダー・プラモデル・アート 青島文化教材社の異常な想像力』、『よみがえるケイブンシャの大百科[完結編] 』。編著に『KOWLOON'S GATE ARCHIVES』。