いよいよ夏本番!! 夏といえば……
そう、ビールですよね!!!!
暑い日差しの下、もしくは風呂上がり、はたまた仕事をさぼって真っ昼間からゴクッゴクッゴクッ……ぷっは~~ッ!!
キンキンに冷えたビールをグイーっと喉に流しこむうまさは、まさに……犯罪的っ!!
もはや夏はビールのために、ビールは夏のためにあるといっても過言ではないでしょう。
そのおいしさを画で伝えてくれるマンガはたくさんありますが、
今回はサマースペシャル企画ということで、様々なビールマンガをピックアップしてみました。
「昼ビー」は悪魔の誘惑!? 現代の野武士がわが道をゆく
漫画版 野武士のグルメ 久住昌之(作) 土山しげる(画)
『漫画版 野武士のグルメ』第1巻
久住昌之(作) 土山しげる(画) 幻冬舎 ¥1,200+税
(2014年3月20日発売)
定年退職した男が、これまでのサラリーマン生活から開放されて悠々自適の暮らしに臨む姿を「野武士」にたとえた、久住昌之×土山しげるという2大巨匠によるグルメマンガ『漫画版 野武士のグルメ』。
主人公・香住武(かすみ・たけし)が散歩の途中、ソースの匂いにつられて入った食堂で焼きそばとビールに出会う第1話「九月の焼きそビール」から、早くもビールの魅力が炸裂します。
焼きそばとビールもどうというところのない平凡なものなのですが、ビールの注ぎ方から味わいまでモノローグで描写して「平日の午後にビールを飲む」ということのささやかな背徳感! そして、それを凌駕する甘やかな魅力を鮮烈に表現しています。ああ、昼間っから飲みたいっ!!!
「トリアエズナマ!」は世界共通の合言葉(注:異世界を含む)!!
『異世界居酒屋「のぶ」 しのぶと大将の古都ごはん』 蝉川夏哉(作) くるり(画)
『このマンガがすごい! Comics 異世界居酒屋「のぶ」 しのぶと大将の古都ごはん』
蝉川夏哉(作) くるり(画) 宝島社 ¥690+税
(2016年4月20日発売)
居酒屋でのファーストオーダーといえばやっぱりビールが定番!!
というわけで「このマンガがすごい!WEB」連載の、大人気ファンタジー小説のコミカライズにも、もちろんビールは登場します。
古都・京都の街にひっそりとたたずむ居酒屋「のぶ」は、なぜか中世のヨーロッパを思わせる「古都」にリンクしてしまった!
でもなんらブレることなく営業するのが「のぶ」のよいところ! 店をおとずれた兵士たちも「トリアエズナマ」という呪文のような言葉に呼応して差しだされる泡だつ金色の液体=ビールに舌鼓をうちます。
どうも異世界では“ビールを冷やす”という文化がない様子。
はじめて飲んだキンッキンッに冷えたビールの味は……。
万国共通の“魔法の呪文”が時空を越えた瞬間におもわず感動してしまうこと間違いなし!
人生はフロあがりの一杯のためにある!
『ふろがーる!』 片山ユキヲ
『ふろがーる!』第1巻
片山ユキヲ 小学館 ¥552+税
(2016年2月29日発売)
食品会社の経理部でテキパキ仕事をこなす生実野早夜子(おゆみの・さよこ)は「風呂」に並々ならぬこだわりを持つ女性。
自宅のお風呂に桜皮を張って桜風呂にしたり、酒風呂にしたりして入浴術にこっていた彼女は、ツーリング仲間の「シローさん」と出会ったことで行動範囲が広がっていきます。
ある日2人が向かったのは東京都文京区のスーパー銭湯。適度に水分をとりながらの入浴を励行する早夜子に対して、シローさんは「生ビまで水分摂らねーから!」と決意表明(よい子はマネしないでね)。
しかし、館内の居酒屋でキンキンに冷えたビールを口にした瞬間、そんな早夜子も最終的にはシローさんの主張に同意せざるをえなかったのでした。
“お風呂は風呂上りの一杯のためにある”――これもまた、人類普遍の真理なのではないでしょうか?
ビアガーデンはコミュニケーションの縮図!
『酒のほそ道』 ラズウェル細木
『酒のほそ道』第16巻
ラズウェル細木 日本文芸社 ¥590+税
(2004年12月16日発売)
酒をこよなく愛する中年サラリーマン・岩間宗達が仕事あがりや休日・出張といった日々の生活のなかで出会う様々な飲酒スタイルを描くロングセラー『酒のほそ道』でも、当然ビールのエピソードはしょっちゅう登場します。
なかでもおすすめなエピソード「ビアガーデンで待ち合わせ」。
仕事上がりの一杯にビアガーデンにやってきた主人公・岩間。
枝豆にからあげ、ソーセージ盛り合わせ……でてくるものはオーソドックスなつまみばかりだけど、むしろこれこそビアガーデンかも。
そして、ビアガーデンの“つまみ”は料理だけじゃない! ワイワイガヤガヤという喧騒、そして外といういつもと違う環境。このビアガーデンという空間こそ酒をうまくしてくれる!
屋外の開放感から友人たちとの会話のボリュームも自然と大きくなっちゃたり……といかないのが、『酒のほそ道』のすごいところ! なんと岩間さん、この空間にひとりぼっちです。
どうやら同僚に待ちぼうけをくらわされている様子。同僚がいつ来てもいいようにつまみの配分や生ビールの大・中・小を調整している姿が、かなしくもおかしくて“あるある”。だけど、やっぱりものがなしい!!
ちょっと背伸びしたい子どもたちのためのビール!
『だがしかし』 コトヤマ
『だがしかし』第1巻
コトヤマ 小学館 ¥429+税
(2014年9月18日発売)
ビールとはちょっとちがいますが、変化球として知っていただきたいのが「生いきビール」という清涼菓子。
実在の駄菓子を思い入れたっぷりに描く新感覚駄菓子マンガ『だがしかし』では、駄菓子屋の跡取り息子・鹿田ココノツと大手菓子メーカー令嬢なのに駄菓子マニアの残念系美少女・枝垂ほたるが「大人の気持ち」を知るために「生いきビール」にチャレンジ!
これさえあれば、親戚が集まる会に自分だけジュースでなんとなく場になじめなかったといったお子さまの悩みもたちまち解決!
一気に大人の仲間入りができるんです。
つまみ用の駄菓子まで用意してスタートした「初めての飲み会」は意外すぎる結果に……。
子どもは新しいスタイルの駄菓子ライフの、おとなはささやかなノスタルジーのアイテムとして「生いきビール」に手をのばしてみてはいかがでしょうか?
え!? この作品がすべて1冊に !?
『このマンガがすごい!comics ビール大好き!』
久住昌之、土山しげる、鈴木マサカズ、芳崎せいむ、コトヤマ、柳沢きみお、
迂闊、片山ユキヲ、泉昌之、コナリミサト、大橋裕之、山本あり、斉藤由美、
相澤亮、ラズウェル細木、蝉川夏哉、くるり、石ノ森章太郎 宝島社 ¥590+税
(2016年7月22日発売)
えー……じつは、なんと!
ここまで紹介したビールマンガは現在発売中の『このマンガがすごい!comics ビール大好き!』にすべて収録されているんです!
上に挙げた作品のほかにも、『食の軍師』(泉昌之)や『大市民』(柳沢きみお)、『HOTEL』(石ノ森章太郎)など、なんと16作品がいっきに読めちゃいます。
さらにさらに本書初公開の描きおろしマンガも大充実!! シュールなギャグが大人気の『シティライツ』の大橋裕之が描く、前代未聞の「マイカウンター」をたずさえて歩き飲みをする男の物語『ウォーキングドランカー酒田歩』は爆笑必至。マンガにまつわる人間ドラマを描いた『金魚屋古書店』の芳崎せいむが描いたのは、不思議な出会いをもたらすビアガーデンのお話。
炎天下で読むもよし、クーラーのきいた部屋で読むもよし、居酒屋に持ちこんで読むもよし(!?)の、あなたの喉を潤す傑作が大集合!!
夏のおともはやっぱりビール!!
ビールのつまみは……このマンガに決まりでしょ!!