話題の“あの”マンガの魅力を、作中カットとともにたっぷり紹介するロングレビュー。ときには漫画家ご本人からのコメントも!
今回紹介するのは『金の国 水の国』
『金の国 水の国』著者の岩本ナオ先生から、コメントをいただきました!
『金の国 水の国』
岩本ナオ 小学館 ¥593+税
(2016年7月8日発売)
『町でうわさの天狗の子』、『雨無村役場産業課兼観光係』など、現代日本の田舎を舞台にしたマンガで、高く評価されてきた岩本ナオ。2年半ぶりの新単行本は意外にも、王国やお姫様が出てくるおとぎ話風のファンタジーである。
細部まで描きこまれたオリエンタル風の背景に、期待が高まる。
ご近所トラブルのような理由で対立し、「犬のうんこ」が決定打で戦争が勃発したA国とB国。
神さま(魔女っ子風の杖装備)の仲裁で、A国からは国で一番美しい娘、B国からは一番賢い若者を送り、結婚させることになる……。
とまあ、導入部から幻想的だがとぼけたコメディ風味だ。
とはいえ仲の悪い国同士のこと、この約束を守るわけはなく、A国は妾の末娘でぽっちゃりした第93王女サーラが若者と縁組することに、B国は族長の命で図書館長の息子で、現在無職のナランバヤルが美女と縁組することになった。
しかし実際には、サーラには相手として犬の子、ナランバヤルには猫の子が送られてきた。
穏便にすませたい2人はこの侮辱に目をつむり、それぞれよき飼い主となった。
お互いの事情も知らない彼らは偶然出会い、ある理由で夫婦のふりをすることに。