「あの話題になっているアニメの原作を僕達はじつは知らない。」略して「あのアニ」。
アニメ、映画、ときには舞台、ミュージカル、展覧会……などなど、マンガだけでなく、様々なエンタメ作品を取り上げていく「このマンガがすごい!WEB」の人気企画!
そう、これは「アニメを見ていると原作のマンガも読みたいような気もしてくるけれど、実際は手に取っていないアナタ」に贈る優しめのマンガガイドです。「このマンガがすごい!」ならではの視点で作品をレビュー! そしてもちろん、原作マンガやあわせて読みたいおすすめマンガ作品を紹介します!
今回紹介するのは、
『劇場版マジェスティックプリンス 覚醒の遺伝子』
“アイツら”が帰ってくる。
いや、訂正しよう。
“アイツら”が、超パワーアップして、帰ってくる!
2013年4月、あるオリジナルロボットアニメが注目を集める。
それが『銀河機攻隊マジェスティックプリンス』だ。放送すると、じわじわとアニメファン、そしてロボットアニメファンの心に熱い火をつけた本作。
……しかし、悲しいかな、作品が完結をむかえる(または放送が一度終わる)と、めまぐるしく変化し進化し続けるアニメ業界においてファンの気持ちは、作品から離れてしまいがちだ。
本作も例外なくそれだ、と思っていた。
けれども『銀河機攻隊マジェスティックプリンス』は違った。ファンの心にはまだ熱い火はくべられたままだった。だれもが続編を、“アイツら”が帰ってくることを待ちのぞんだ。
そして、2016年、『マジェプリ』はまさに“覚醒”したのだ!
3年の時を経て、いよいよ 『劇場版マジェスティックプリンス 覚醒の遺伝子』が11月4日(金)から公開される。 物語はTVシリーズの続編となるのだが、簡単なあらすじを紹介しておこう。
地球人類が宇宙進出を果たした近未来、ある時に汎銀河統一帝国を名乗る謎の勢力“ウルガル”の襲撃を受け、 地球は存亡の危機に陥った。そんななか、遺伝子操作によって戦闘に特化した人類が生みだされる。 戦うために生まれてきた少年少女たち「チームラビッツ」が、時に自身の出生や戦う意義に悩みながらも、 最新鋭の戦闘デバイス「AHSMB(アッシュ)」に乗り、激しい戦場を舞台に成長していく姿が描かれた。
最終決戦では主人公のヒタチ・イズルが強敵との戦闘に勝利する。 しかし、重傷を負い昏睡状態に陥ってしまう……劇場版の物語はそこからスタートする。
イズルの回復を祈るアサギら「チームラビッツ」や「特務機関MJP」の面々たち。けれどもイズルはどんなに声を掛けても目を覚まさない。そんななか、正体不明の敵が現れる。
ウルガルから亡命してきた少女・テオーリアの見解ではウルガルの皇族の遺伝子を持つ「ディオルナ」が襲来してきたというのだ。
いまだイズルが目を覚まさないなか、侵攻してくる最大の敵・ディオルナと戦うため、
「チームラビッツ」らは出撃していく――。
今回の劇場版は、ストーリーはもちろんのこと、
ロボットバトル描写が格段にパワーアップしていることに驚愕する!
もともとハイクオリティなCG技術によるロボットアクションや、
洗練されたディティールが魅力のメカニックデザインに定評はあったが、
今回の劇場版で大スクリーンに写しだされる、そのスピーディかつエキサイティングなバトルは、
瞬きさえ忘れてしまうほどだ!
今回、「最大の強敵」ともいわれるディオルナの機体は鳥のような美しさとしなやかさ、 そして圧倒的な俊敏さと強さで、「チームラビッツ」らをほんろうする。 ディオルナがいとも簡単に、相手との間合いをつめるシーンでは、思わず息をのんでしまった。
もちろん「チームラビッツ」をはじめ、新メンバーの機体にも注目だ。
今年7月から放送していた「マジェスティックアワー」で初公開された新作第25話「未来への翼」に登場した、
期待の新メンバー「チームフォーン」。
彼らも地球を守るために前線へと送りだされるのだが、新型アッシュで宇宙を駆り、
圧倒的多数で攻めてきたウルガル軍と戦う、TVアニメとはまたひと味違った彼らの活躍を見てほしい!
さて「チームラビッツ」の面々は?
もちろん超スタイリッシュでかっこいい、おなじみの機体に搭乗! 先の戦いで覚醒し成長したイズルと専用機「レッドファイブ」の姿に感化されたメンバーは、「イズルのぶんまで戦う」と意欲を見せる。
それぞれの機体の特性はもちろんのこと、アサギ、ケイ、タマキ、スルガ、アンジュら5人が
強敵との対峙にて、どのような戦闘を見せるのか、そして遺伝子の“覚醒”とは……?
ぜひ劇場に行ってその目でたしかめてほしい!!
大スクリーンで繰り広げられる新たなる 「マジェプリ」の境地、そして覚醒の姿を、心して待て!!
『劇場版マジェスティックプリンス 覚醒の遺伝子』を観たあとに……
今回、『劇場版マジェスティックプリンス 覚醒の遺伝子』をさらに楽しみたいアナタに、読んでほしい作品を紹介しちゃいますよっ。
『「銀河機攻隊マジェスティックプリンス」はじまりの少女、約束の螺旋』
宍戸義孝
『「銀河機攻隊マジェスティックプリンス」はじまりの少女、約束の螺旋』
宍戸義孝 宝島社 ¥1200+税
(2016年9月14日発売)
「このマンガがすごい!WEB」で連載中であり、今回の劇場版の脚本を務めた宍戸義孝氏が手がける小説版「マジェプリ」! TVアニメ本編から55年前にさかのぼり、ある地球人の青年とウルガルの姫君の出会いを描いた物語だ。
本編を読み進めていくと、TVアニメファンにはなじみのあるウルガル人の名前が多数出てくる。そう、この物語ではTVアニメではあまり描かれてこなかったウルガルの過去もくわしく描かれているのだ! さらに劇場版で登場する敵・ディオルナの名前も!?
TVアニメ本編、そして劇場版へとつながっていくストーリーは、どの時点で読んでも見識が深まる。劇場版を見てから読むのはもちろん、小説を読んでから劇場版を見るのもオススメだ。
『マジェスティックプリンス』の関連作品以外に、
このマンガもおすすめ!
『COPPELION』 井上智徳
『COPPELION』
井上智徳 講談社 ¥552+税
(2008年10月6日発売)
こちらは「ある目的のために遺伝子操作されて生みだされた子どもたち」が活躍するマンガ。 お台場の原子力発電所で発生したメルトダウンにより死の街と化した東京を舞台に、 特殊能力をもって生みだされた少年少女「コッペリオン」たちが、生存者救出を目的に走り回るのだが、 汚染された環境化で狂ってしまった生態系、そして暗躍する組織など、様々な困難にぶつかっていく。
劇中の設定があまりにも衝撃的かつリアルと話題になったが、この物語で注目したいのは、 コッペリオンたちが直面する「生への葛藤」だ。 本人たちは、自分たちが汚染された東京でも活動できるように生みだされたことを知っている。 その能力のせいで無痛症になり生きている実感がなかったり、 たび重なる実験に精神を病んでしまったり、普通の人間から蔑視されてしまう現実など、 彼らには常に生きるうえでの障害がたちはだかる。
しかし自身の存在意義を問いながらも、「生存者を救いたい」「地球の未来を守りたい」「人間らしく生きたい」と奔走する
彼らのなんたる人間らしいことか!
戦いのなかにおいて、彼らの人間性が象徴されるのは哀しいところでもあるが、
“人間の本質”について考えさせられる一作だ。
<文・はろるどキサラギ>
フリー編集者。見習い感あふれる感じながら、ときに執筆やデザインも手がけることも。アニメとマンガが“ズッ友”。スポーツしてるDKが大好きだと叫びたい。「俺は今猛烈に熱血しているッ!」的なロボットアニメが好きです。