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『昭和元禄落語心中』(雲田はるこ)ロングレビュー! アニメ第2期放送決定! 噺家たちが高座から見てきた落語の未来

2016/11/26


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また今巻では、与太郎が「死神」を演るところも見どころのひとつ。

会場のこけら落としと襲名披露という華やかな場で「死神」をかけるなんて……と思うかもしれないが、じつは祝いの席で「死神」を演る落語家は少なくない。特に正月などは「門松は冥土の旅の一里塚めでたくもありめでたくもなし」とのマクラを振ってから「死神」に入るのが、そのケースでの“お決まりだ”。ましてや「死神」は師匠の十八番。
だから与太郎の贔屓筋からすれば「よ、やりァがったな」てなもんである。

師匠への思いを胸に、いよいよこけら落としの演目「死神」が始まる……。

師匠への思いを胸に、いよいよこけら落としの演目「死神」が始まる……。

なお、与太郎による死神の所作(145ページ)は八代目のソレ(9巻132ページ)の生き写しであるかのようだ。噺のクライマックス(146~147ページ)は八代目の芸(9巻136~137)と瓜二つで、この噺が師匠譲りあることがうかがえる。

「死神」を演りたくて弟子入りした男が、物語の最後に「死神」を演る。

シンプルにして「当然の帰結」を、これだけのスケールで説得力をもって描ききったところに、この最終回のすごさがある。普段は陽気に見える与太郎も、一個の芸人として、芸の神様に魅入られ、落語家としての宿業を背負っていることにも気づく。

血も家も、人も芸も業も、何もかも受け継がれていった。

The show must go on. 高座の幕は上がり続ける。

師匠の領域に足を踏み入れたことは、与太郎に何をもたらすのか。
最終回を迎えた今、われわれ読者は与太郎たちの“その後”を、それぞれの胸の内に思い描かずにはいられない。


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★TVアニメ第2期「昭和元禄落語心中 -助六再び篇-」が、2017年1月よりMBS、TBS、BS−TBS“アニメイズム”枠にて放送が決定! 詳細は公式HPまで!



<文・加山竜司>
『このマンガがすごい!』本誌や当サイトでの漫画家インタビュー(オトコ編)を担当しています。
Twitter:@1976Kayama

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