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【第7回『このマンガがすごい!』大賞 最優秀賞、決定!!】『ECHOES』(歩)ロングレビュー! 君のシュートから目が離せない……“はぐれ者”少女の青春物語!!

2016/12/14


青は、物心ついた時から、自分の性に違和感を持っている。というほど、まだ表立って自覚はしていないのだが、これまでに女の子を好きになったことがあり――それを口に出してはならないことは知っている。
「おれ」という一人称が自然で、成長するほど“女子たち”の話題についてけなくなる。そんな青が唯一自分らしくいられるのが、「バスケが好き」というシンプルな“理由”を持つ者が集まる部活なのだ。徹底して人と交わりたがらない飛鳥が、キャプテンに罵倒されようが、休まず体育館にやって来るのも、同じ理由からなのだろう。

北海道ブロック予選、強豪校に点差をつけられた新緑バスケ部。試合中のインターバルの間、責任を感じてひとり落ちこむ飛鳥に、青は真っ向から語りかける。

北海道ブロック予選、強豪校に点差をつけられた新緑バスケ部。試合中のインターバルの間、責任を感じてひとり落ちこむ飛鳥に、青は真っ向から語りかける。

根はいいヤツなのだが、いかにもキャプテンらしい“人格者”ではない金子。
ムードメーカーでみんなに信頼されているガードの樹里。
バスケセンスも実力もそなえているけれど、気まぐれでマイペースな2年の葉月。
チーム内の不協和音に心を痛める、心やさしいナツ。

それぞれのキャラクターも立っていて、どのシーンからも個々の性格が見えてくるあたりは、新人離れした技量である。

飛鳥が天敵のキャプテン・金子にパスを出し、チームは完全に機能! バスケシーンの迫力、臨場感も抜群だ。

飛鳥が天敵のキャプテン・金子にパスを出し、チームは完全に機能! バスケシーンの迫力、臨場感も抜群だ。

スポーツにかぎったことではないが、言葉のうえで「みんな、ひとつになろうよ」というだけで、そうなれるものではない。 では、何が必要か? それを口にし、体現してみせたのが青なのである。

新緑高校女子バスケ部のその後、そして始まったばかりの青と飛鳥の物語のつづきを、ぜひ読みたいと思うのだ。



<文・粟生こずえ>
雑食系編集者&ライター。高円寺「円盤」にて読書推進トークイベント「四度の飯と本が好き」不定期開催中。
ブログ「ド少女文庫」

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