話題の“あの”マンガの魅力を、作中カットとともにたっぷり紹介するロングレビュー。ときには漫画家ご本人からのコメントも!
今回紹介するのは『ECHOES』
『このマンガがすごい!comics ECHOES』
歩 宝島社 ¥700+税
(2016年12月10日発売)
第7回『このマンガがすごい!』大賞を受賞した本作は、女子バスケ部の青春ストーリー。
高校生たちのリアルな自意識、気持ちのぶつかりあいを丹念に描いた力作だ。
主人公は新緑高校バスケ部所属の1年生、五十嵐青(いがらし・せい)。
部員たちのポテンシャルはなかなかのものだが、チームとしてはいまひとつかみあっていない。
その一因は、1年生ながら頭抜けた実力を持つ新條飛鳥(しんじょう・あすか)の存在だ。
彼女はいつもひとりで早朝練習や居残り練習をするほどバスケに真剣だが、チームメイトとまったくコミュニケーションを取ろうとしない。コートのなかでもその態度は変わらないときているから、「猛獣」の異名をとるキャプテン・金子がキレるのも致し方ないのだが……。
青だけは飛鳥を放っておけず、あからさまに拒絶されてもねばり強く、少しずつ距離を縮めていく。
チームが一丸となるために――もちろん、そういう気持ちもあるには違いないが、青にとって飛鳥は別の意味でも気になる女子なのだ。気づいたら、彼女のことを目で追っている。2人きりになると、なぜかドキドキしてしまう。