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4月29日は「ロサンゼルス暴動が起きた日」 『ゴルゴ13』を読もう! 【きょうのマンガ】

2017/04/29


365日、毎日が何かの「記念日」。そんな「きょう」に関係するマンガを紹介するのが「きょうのマンガ」です。

4月29日はロサンゼルス暴動が起きた日。本日読むべきマンガは……。


gorugo13_s086

『文庫 ゴルゴ13』 第86巻
さいとう・たかを リイド社 ¥476+税


1992年4月29日は、ロサンゼルス暴動が起きた日である。

これに先立つ前年、黒人男性のロドニー・キングがスピード違反を犯したところ、ロサンゼルス市警の複数の白人警官から暴行を加えられる事件が起きた。これを「ロドニー・キング事件」という。その様子が自宅のバルコニーからビデオカメラで撮影されてテレビで放映されると、全米の黒人たちが怒りの声をあげる事態に陥った。

このロドニー・キング事件の裁判が1992年4月29日に行われると、陪審員は無罪との評決を下す。陪審員に黒人がいなかったことも災いし、評決に怒った黒人たちが暴徒と化して、商店を襲ったり、放火をしたり、金品の略奪を行ったりしたのである。この暴動は約5日間も続き、日本でもその様子が連日報道された。


このロス暴動を扱った作品が『ゴルゴ13』の「カオスの帝国」(文庫版第86巻収録)だ。

「カオスの帝国」では、カオス理論を社会学に応用した「社会カオス理論」を提唱するジョゼフソン教授によってロス暴動が引き起こされたとされている。
このエピソードを読み解くにはレーガン大統領暗殺未遂事件、ブレイディ法、ロス暴動といった3つの歴史的事件の背景を知る必要がある。
1981年3月30日、アメリカ大統領のロナルド・レーガンは講演先のホテルの出口付近で狙撃された。この時レーガンは難を逃れたが、そばにいた報道官のジェームズ・ブレイディが被弾。ブレイディは一命を取り止めたものの半身不随となり、彼の名にちなんだ銃規制法「ブレイディ法」が議会に提出されるようになる。

「カオスの帝国」では、ゴルゴは1981年にジョゼフソン准教授(当時)から依頼を受け、レーガン暗殺にみせかけてジム・ブライトン報道官を狙撃することになる。ゴルゴのスナイプ能力をもってすればブライトン狙撃はたやすく、ブライトンの死後、その妻が銃規制法の「ブライトン法」成立に向けてロビー活動をするようになった。
ことの顛末を探り出した全米ライフル協会は、ジョゼフソン教授に接触。人々の心理が銃規制ではなく、銃の購買へと向かうように働きかけてくれ、と要請するのであった。
そこでジョゼフソン教授は、白人警官が黒人を暴行し、それを偶然通りがかった通行人がビデオカメラで撮影するようなシチュエーションをセッティングする。つまりレーガン大統領暗殺未遂事件、ロドニー・キング事件、ロス暴動は、すべてひとりの女性教授によって仕組まれたものであった、とするのが「カオスの帝国」のあらすじである。この悪魔的頭脳を持つジョゼフソンとゴルゴは、再び出会うことになるのだが……。

現実の世界では、ブレイディ法は5年間の時限立法として制定され、1994年に施行された。アメリカでは1968年の連邦銃規制法以来の本格的な銃規制法として注目を集め、5年延長されたものの、2004年のブッシュ政権時に延長されず、現在は失効している。
「カオスの帝国」は「アメリカ合衆国は、銃と麻薬により、今や『混沌(カオス)の帝国』になりつつある」(作品発表は1993年1月)と締めているが、近年のアメリカにおける人種間対立や銃犯罪の件数を見るに、その混迷は色濃くなっているといわざるをえない。
「世界の現代史はゴルゴに学べ」は『ゴルゴ13』ファンの合言葉のようなものだが、現在まで連なるアメリカの人種間対立や銃規制と反規制派の対立などは、この「カオスの帝国」を読めば丸わかりだ。
と同時に、おそるべきゴルゴのスナイプ能力や、モテっぷりにも注目したい。



<文・加山竜司>
『このマンガがすごい!』本誌や当サイトでの漫画家インタビュー(オトコ編)を担当しています。 Twitter:@1976Kayama

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