365日、毎日が何かの「記念日」。そんな「きょう」に関係するマンガを紹介するのが「きょうのマンガ」です。
1月14日は愛と勇気と希望の日。本日読むべきマンガは……。
『集英社文庫 赤ずきんチャチャ』第1巻
彩花みん 集英社 ¥640+税
1月14日は「愛と勇気と希望の日」という記念日。
……って、それ何? という人も多いかと思うので軽く解説をしておくと、そもそもこの日は、かつて南極観測隊に同行するも過酷な条件が重なり、鎖につながれたまま南極の平原に置き去りにされてしまった樺太犬・タロとジロの生存が確認された日。
その奇跡の生存のニュースが、多くの人に「愛と勇気と希望を与えた」ということで、この記念日が制定されたのでありました。
でも、「愛と勇気と希望」といえば、ある世代の人にはもっとピンとくるものがありますよね……?
そう、『赤ずきんチャチャ』に登場するマジカルプリンセスの変身時の名乗り「愛と勇気と希望の名のもとに、マジカルプリンセス! ホーリーアップ!」がそれ。
というワケで、タロとジロには申しわけないが、本日紹介するのは『赤ずきんチャチャ』!
ただ、ここでお断りしておきたいのは、じつはマンガ原作版の『赤ずきんチャチャ』には、マジカルプリンセスは登場しない! 原作はギャグ純度の高い、魔法の国を舞台とした学園コメディだが、アニメのほうは魔王と戦う魔法少女モノ路線が強調されていた時期があり、マジカルプリンセスはその影響で誕生した……というワケ。
ギャグよりのキャラデザインであるチャチャが、等身高め&露出もチョイ高めの美少女ヒロインに変身するということで、本来の番組視聴ターゲットから大きく外れた一部の層からも絶大な支持を得たマジカルプリンセスだが、「なんだよ、原作に出てないのかよ!」と嘆くことなかれ。
原作は原作で、少女向けギャグ作品として不朽の名作であります。
そして、原作をあらためて読むことで、アニメ版がいかに実験的かつ前衛的な演出にチャレンジしていたかということもよくわかるはず。
ここで名を上げた当時の若手演出家も多く、特に『おじゃる丸』シリーズや『ギャグマンガ日和』シリーズなどの監督で知られる大地丙太郎はその筆頭格。
2016年4月から放送予定のアニメ版『とんかつDJアゲ太郎』にも彼が監督としてクレジットされているのも非常に期待をあおられるところだったりするので、その源流としても『赤ずきんチャチャ』にいま一度ご注目していただきたい。
<文・大黒秀一>
主に「東映ヒーローMAX」などで特撮・エンタメ周辺記事を執筆中。過剰で過激な作風を好み、「大人の鑑賞に耐えうる」という言葉と観点を何よりも憎む。