『とんかつDJアゲ太郎』第1巻
イーピャオ(案) 小山ゆうじろう(画) 集英社 \580+税
(2015年2月4日発売)
マンガファンはもちろん、各方面から絶賛を巻き起こしている話題作『とんかつDJアゲ太郎』。
タイトルだけ見ると、いかにもウケ狙いのギャグマンガ(?)なのだが、これがどっこい、筆者のようなスレた読者も心熱くさせる、王道の魅力あふれる快作なのだ。
東京・渋谷のとんかつ屋「しぶかつ」三代目の揚太郎は、父・揚作のもと、店でなんとなく見習いを続けていたが、ある日、たまたま出前に赴いたクラブでDJのプレイを初体験。
これまで味わったことのない高揚感をおぼえ、「とんかつもフロアもアゲられる男になりたい!」と前人未到の「とんかつDJ」を目指すことになる――。
って、アゲ&揚げを掛けてるだけじゃん! と侮るなかれ。
ステージでプレイするDJ、大音量で鳴り響く音楽、フロアで楽しげに踊る人々、そして今まで見たこともない可愛い子ちゃん……。「初めて火を見た原始人」のように、クラブで体験するすべてにピュアに驚き、感動するアゲ太郎。“描きたいキモチに技術が追いついていない”感満載な絵柄も、むしろ、無垢でまっすぐなアゲ太郎のキャラ&ストーリーにぴたりとハマって、思わずドキドキ。
ダンダンダンダン……という千切りキャベツのリズミカルなカッティング音、ジュウゥゥゥ~プチプチプチプチといった音でタイミングを見極め、素早く次のアクションとつないでゆく流麗なプレイ。
視覚&聴覚はもちろん、誌面から匂いや温度まで漂ってきそうな五感を刺激するグルーヴィーなサウンドならぬ、とんかつ・メイキング描写には、目からウロコ!