『このマンガがすごい!』編集部が主催する、「すごい!マンガ」を見つけるためのマンガ新人賞「『このマンガがすごい!』大賞」!
第8回となった今回は、今までにないレベルの高い作品の応募が寄せられ、最終選考では、審査員および編集部スタッフも例年以上に議論を重ねることとなりました。
最終選考に残った4作品のなかから、本年度の受賞作品が決定! この場をもって、発表させていただきます。
最優秀賞
林良時『まかいたいしコココちゃん』
第8回「『このマンガがすごい!』大賞」は、林良時氏の応募作品「まかいたいしコココちゃん」が最優秀賞を受賞。
受賞作は加筆修正・再構成して単行本として発売いたします。
<STORY>
魔界では人間界と久しく断絶していたが、交流を再開すべく大使を派遣することに。いち早く名乗りを挙げたのが魔王の娘・コココちゃん。「友だちを100人作りたい」という素直な想いで人間界に飛びこんでいくが……!?
作品講評
魔族の少女が人間界に出かけ、先入観を持たないゆえの素直さで人々の架け橋となっていく……。温かな理想とメッセージを根底に宿した本作の魅力は、王道的な設定をしっかりと咀嚼して表現していることにある。
6歳のヒロイン・コココを動かすのは「見たことのない世界を知って、友だちを増やしたい」「困ってる人を助けたい」というシンプルな希望だ。一つひとつの丁寧にエピソードで語り、キャラクターの表情を丹念に追う姿勢が、ポジティブな物語をきれいごとで終わらせない説得力を生んでいる。細かく描きこまれた背景から生みだされる世界の広がり、メジャー感は、新人のものとは思えない。
見せ場のアクション、豊かな表情、世界観を伝える風景を絵の巧みさに溺れず、登場人物たちの感情に沿った的確なアングルでとらえているのが、思わず物語にひきこまれる理由であろう。
終盤で、コココの夢に人間と憎みあった「先祖の記憶」が現れ、その「負の連鎖」が「敵」として描かれるのも興味深く、作品世界に奥行きを与えている。
<「『このマンガがすごい!』大賞」選考委員・粟生こずえ>
最終選考通過作品
今回、一次選考を通過した9作品のなかから、林良時氏による応募作のほか、下記の4作品が最終選考まで残りました。
- ししうど『砂場の船』
- 瀬田小三郎『Laブストーリー』
- ソーダ水『脈々』ほか
- 中野賢史郎『APOLLON』
講評:最近の自主制作マンガでよく見かけるような画風であるが、公に発表するに十分な画力と構成力がある。
講評:「ブス」をテーマにした連作。つかみがあり、読み手の興味を引きつける。
講評:絵、ストーリー、構成力など、総合的に見て商業作品として通用するクオリティである。
講評:絵がうまいだけでなく、独特の魅力があると思う。スケールの大きい物語であるが、それを描ききれる説得力がありそうだ。
編集部にて議論を重ねた結果、上記3作品は惜しくも選外となりました。
第8回「『このマンガがすごい!』大賞」総評
まずは、第8回「『このマンガがすごい!』大賞」応募者のみなさまに、心よりお礼を申し上げます。
本年度は、近未来SF、ラブストーリー、冒険ファンタジー、シュール系ギャグなど、様々なジャンルの応募作が寄せられました。また、他賞の受賞経験や、他社での連載経験を積まれている方から、70歳の応募者まで、「マンガ」へのアツい情熱をもった、幅広い方々にご応募いただき、選考も非常に難航いたしました。
特に最終選考まで残った4作品は、「マンガ」という表現方法のなかで、各々の世界観をうまく伝えられていると感じました。
そのなかでも、特に画力の高さとスピード感のあるコマ割り、読者を引きつける魅力が大きかった作品が、今回「最優秀賞」を受賞した、林良時氏の作品「まかいたいしコココちゃん」でした。
最優秀賞を受賞した「まかいたいしコココちゃん」は、応募時から大幅な加筆・修正、および内容の再構成を加えたうえで、2017年12月9日(土)に、単行本『まかいたいしコココちゃん』として刊行します。
現在絶賛、予約受付中です!
また、「このマンガがすごい!WEB」上では、『まかいたいしコココちゃん』の作品紹介や、著者である林良時氏への受賞記念インタビュー記事をアップいたします。さらに、作品本編の一部を「試し読み」として公開もする予定です。
なお、現在第9回『このマンガがすごい!』大賞の原稿を絶賛募集中です。マンガ界の未来を担うみなさまからのご応募を、心よりお待ちしております。
<『このマンガがすごい!』編集部>