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『メダカくん、さよなら。』 こうのとり昇 【日刊マンガガイド】

2017/05/12


日々発売される膨大なマンガのなかから、「このマンガがすごい!WEB」が厳選したマンガ作品の新刊レビュー!

今回紹介するのは、『メダカくん、さよなら。』



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『メダカくん、さよなら。』
こうのとり昇 KADOKAWA ¥580+税
(2017年4月4日発売)


 

舞台となるのはとある水槽。
主人公は肉食魚の生き餌として飼われたメダカのうちの1匹、メダカくん。
仲間が全部餌として食われたなか、ただ1匹生き残って別の水槽に移されたものの、今度は同居人(?)となったヤマトヌマエビのお兄さんにうんこを食われたりする。

アクアリウム……というと、なんだか平和で牧歌的な趣味なような気がするが、水槽のなかで暮らす生き物たちにしてみれば、そんなことはなかった。

主人=人間の胸先三寸でいつだれがだれの餌になるかもわからない、人間がミスしたり飽きたりしようもんなら一発で全滅確定という、自然界よりよほど厳しく理不尽な一面もある世界なのだ。それこそ、メダカくんはタイトルどおり、いつ“さよなら”してもおかしくないのである。

気まぐれな人間に生殺与奪権を握られた、水槽のなかの生き物たちの壮絶な日常。
それが、実態とはまったく正反対の軽やかでコミカルなタッチで描かれることで、かえって悲惨さと不条理さを際立たせる。そんなブラックなユーモアに満ちた日常系サバイバルコミックが本作だ。
生き残れ、メダカくん!!



<文・前島賢>
82年生、SF、ライトノベルを中心に活動するライター。朝日新聞にて書評欄「エンタメ for around 20」を担当中。
Twitter:@maezimas

単行本情報

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