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『オルガの心臓』第1巻 雨宮もえ 【日刊マンガガイド】

2014/09/16


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『オルガの心臓』第1巻
雨宮もえ 講談社 \581+税
(2014年9月5日発売)


特別な技術で、緑色の光が飛ぶ人工心臓を作ることができるオルガ。彼女は人工心臓の研究所を追われて、弟のニトと田舎で診療所を開いている。人の命を救うためには2人とも献身的な優しい人間だ。
ところがニトはオルガを守ることに対して、とにかく神経質。街にある病院に対して、人工心臓の技術を盗みにくるのではないかと激しい警戒心を抱き、狂ったように怒鳴り散らす。オルガはそれに従って、2人は人工心臓についても口外せず、ただこっそりと隠れて過ごしている。

心臓という、生死に直結する臓器がテーマのこの作品。「命を救う」ことへの執念を軸に描いている。
特にオルガは、中盤から出てくる、どうしても子供のための人工心臓を作りたいと願う医師のシマと出会うことで、命への向き合い方が大きく深まっていく。

しかしこの作品のテーマは、心臓移植による命の救済だけではない。そもそも謎が多すぎる。
ニトは「僕の心臓は姉さんのものだ」と何度も繰り返すが、どういう意味なのか、現段階ではまったく語られていない。そもそも彼らは、本当に姉と弟なのだろうか?
許可をとらずに、魔法のような人工心臓を作っている理由もわからない。なぜ研究所を追われ、2人はこっそりかくれて田舎で診療所を開いているのか?

ニトとオルガが2人きりで経営する診療所は、とてもいびつだ。
「僕はこのままでいい、なんの変化もいらない!! 僕は姉さんがいればそれでいいんだ!!」「どうして僕から姉さんを奪おうとするの」という、ニトの閉じた思考は、正常には見えない。

1巻ラストで、オルガはニトを大切にしているがゆえに、現状から脱却しようと考え、ストーリーは大きく動き始める。
人間の心臓を救うという命の物語であると同時に、人の心はいかにして救われるかの物語でもあるのだ。



<文・たまごまご>
ライター。女の子が殴りあったり愛しあったり殺しあったりくつろいだりするマンガを集め続けています。
「たまごまごごはん」

単行本情報

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