巨大ヒロインブーム到来か!?
『このマンガがすごい! 2014』で11位にランクインした 『富士山さんは思春期』のヒロイン・富士山牧央は、なんと181cmの高身長!!
いま、巨大ヒロインがキテる!?
後編はコチラ!
【インタビュー】大きな女の子とコタツでなにする? 『富士山さんは思春期』 オジロマコト 先生【後編】
巨大ヒロイン誕生秘話
――『このマンガがすごい!2014』では第11位にランクインしました。
オジロ ありがとうございます。
――ご感想をお聞かせください。
オジロ とてもうれしいです。ただ、せっかくならもうひとつ上、10位に入りたかったなぁ、と(笑)。
担当 どういった層から票が入ったのか、お聞きしてもよろしいですか?
――メインは男性です。でも、完全に男性だけというわけではないです。 女性からの票も入りました。『富士山さんは思春期』は、どういった読者層を想定していましたか?
オジロ 掲載誌の「漫画アクション」[注1]が青年誌なので、やっぱり男性をメインに考えていました。
――では、実際に連載開始後の読者層はいかがでしょう?
担当 男性7割、女性3割くらいです。ウチの雑誌の作品にしては珍しく、女性からも支持されています。
――それにしても富士山さん、大きいですねぇ(181cm)。
オジロ そうですね。190cmにすると「さすがに大きすぎるかな」と思いまして。 大きくてもかわいいと思えるギリギリのラインが、私のなかでは181cmかな、と。
――われわれオジサン世代からすると、巨大ヒロインといえば『The❤かぼちゃワイン』[注2]の名前が思い浮かびます。
オジロ よく聞きます、そのタイトル(笑)。
――あの作品のヒロインのエルが、やはり中学2年生。身長は170cmだったんです。
オジロ いまだと170cmって、普通にいますからね。
――どうせ大きい子を出すなら、思い切って大台(180cm)を超えさせよう、と?
オジロ そういうことです。
――そもそも、「大きいヒロインを出す」というアイデアは、どこから出てきたのでしょうか?
オジロ それは「漫画アクション」での連載用にアイデアを練っているときに、担当さんから。
担当 単純に私が、大きい子が好きなんですよ(笑) ちょうどその頃、全日本の女子バレーが盛り上がっていて、 木村沙織選手[注3]なんかがメディアに大きくフィーチャーされていました。 そのときに「そういえば、大きくてかわいい子を真っ正面から取りあげた作品はないなぁ」と思いまして。
――ほかにも担当されている作家さんは大勢いらっしゃると思います。 どうしてそこでオジロ先生に話を持ちかけたのでしょうか?
担当 それはやはりオジロ先生の画力が高いからです。 たとえば、絵のうまくない人に大きい人間を描かせると、ただ縦に伸びるだけだったりします。人体の構造、それこそ骨格から「大きい人」を描く、 しかもそれを「可愛く」描くには、もうオジロ先生しかいないだろうと思っていました。
――「大きい子をヒロインにしてはどうか」と振られたとき、オジロ先生はどう思いました?
オジロ ああ、なんか……いい予感が(笑)。いけそうな感じがしました。
――大きな子を描くにあたって、どの点で苦労されてますか?
オジロ そうですね……、スペースを大きく使える一枚絵であっても、 顔はそこそこ大きく描かないと映えないじゃないですか。ただ、周囲の子たちをそのサイズで描いてしまうと、牧央が入れたいところまで入らなくなってしまいます。
――上場も決して小さくはないですよね。
オジロ そうですね、中2男子で160cmなので、平均よりちょっと上くらいかな。
――牧央と上場の身長差が絶妙で、ちょうど上場の目の前に牧央の胸が来るという……。
オジロ 「身長差カップルあるある」ですよね。
――身長差を表現して、なおかつふたりを同時に見切れずに入れ込むには、どう対処しているんですか?
オジロ ちょっと角度をつけたりしてます。じつは、構図的にウソをついているんですね。
――ちなみにご自身のまわりに大きな子っていました?
オジロ いました。「週刊ヤングマガジン」(講談社)で連載していたときに、アシスタントに入ってくれた子が174cmありましたね。
――その子のことが、作品に活きていたりします?
オジロ 「身長差カップルあるある」とか「大きい女の子あるある」みたいな。ネタ的に拾えたり、拾えなかったりしますけどね。 たとえば1巻で、上場が牧央の足が大きいと感じるところとか。あとは、旅館に行ったときにひとしきり頭をぶつけたり、 仲居さんに「(浴衣が)短いですかねぇ?」って言われたりとか。 大きい子ならではの「この子、かわいいぞ」ってポイントはありますよね。
- [注1]「漫画アクション」 双葉社から1967年に創刊された、青年マンガ雑誌。現在も月2回発刊されている。
- [注2]『The❤かぼちゃワイン』。三浦みつるの作品。背の低い硬派な主人公・青葉春助と、背の高いヒロイン・朝丘夏美(通称エル)の織りなすラブコメディ。1981年から「少年マガジン」にて連載。翌年にはテレビ朝日系列でゴールデンタイムに放映された。当時どれほど「ラブコメ・ブーム」だったかがうかがいしれる。春助くん、だ~いすきっ。
- [注3]木村沙織選手 女子バレーボール選手。身長185cm。2002年に全日本代表チームから強化合宿に招集され、同年9月のアジア選手権に出場。以降世界選手権やワールドカップ2011、ロンドンオリンピックで活躍し、現在はトルコリーグ・ガラタサライに所属している。