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【インタビュー】 巨人の次に来るのは巨大女子!? 『富士山さんは思春期』 オジロマコト 【前編】

2014/06/02


巨大ヒロインブーム到来か!?

『このマンガがすごい! 2014』で11位にランクインした 『富士山さんは思春期』のヒロイン・富士山牧央は、なんと181cmの高身長!!

いま、巨大ヒロインがキテる!?

後編はコチラ!
【インタビュー】大きな女の子とコタツでなにする? 『富士山さんは思春期』 オジロマコト 先生【後編】

著者:オジロマコト

2006年より初の連載作品となる『カテキン』を「週刊ヤングマガジン」(講談社)にて連載。単行本全10巻の長期連載となる。その後2012年12月より「漫画アクション」(双葉社)にて『富士山さんは思春期』を連載中。

巨大ヒロイン誕生秘話

 ――『このマンガがすごい!2014』では第11位にランクインしました。

オジロ ありがとうございます。

――ご感想をお聞かせください。

オジロ とてもうれしいです。ただ、せっかくならもうひとつ上、10位に入りたかったなぁ、と(笑)。

担当 どういった層から票が入ったのか、お聞きしてもよろしいですか?

――メインは男性です。でも、完全に男性だけというわけではないです。 女性からの票も入りました。『富士山さんは思春期』は、どういった読者層を想定していましたか?

オジロ 掲載誌の「漫画アクション」[注1]が青年誌なので、やっぱり男性をメインに考えていました。

――では、実際に連載開始後の読者層はいかがでしょう?

担当 男性7割、女性3割くらいです。ウチの雑誌の作品にしては珍しく、女性からも支持されています。

――それにしても富士山さん、大きいですねぇ(181cm)。

オジロ そうですね。190cmにすると「さすがに大きすぎるかな」と思いまして。 大きくてもかわいいと思えるギリギリのラインが、私のなかでは181cmかな、と。

――われわれオジサン世代からすると、巨大ヒロインといえば『The❤かぼちゃワイン』[注2]の名前が思い浮かびます。

オジロ よく聞きます、そのタイトル(笑)。

――あの作品のヒロインのエルが、やはり中学2年生。身長は170cmだったんです。

オジロ いまだと170cmって、普通にいますからね。

――どうせ大きい子を出すなら、思い切って大台(180cm)を超えさせよう、と?

オジロ そういうことです。

――そもそも、「大きいヒロインを出す」というアイデアは、どこから出てきたのでしょうか?

オジロ それは「漫画アクション」での連載用にアイデアを練っているときに、担当さんから。

担当 単純に私が、大きい子が好きなんですよ(笑) ちょうどその頃、全日本の女子バレーが盛り上がっていて、 木村沙織選手[注3]なんかがメディアに大きくフィーチャーされていました。 そのときに「そういえば、大きくてかわいい子を真っ正面から取りあげた作品はないなぁ」と思いまして。

――ほかにも担当されている作家さんは大勢いらっしゃると思います。 どうしてそこでオジロ先生に話を持ちかけたのでしょうか?

担当 それはやはりオジロ先生の画力が高いからです。  たとえば、絵のうまくない人に大きい人間を描かせると、ただ縦に伸びるだけだったりします。人体の構造、それこそ骨格から「大きい人」を描く、 しかもそれを「可愛く」描くには、もうオジロ先生しかいないだろうと思っていました。

――「大きい子をヒロインにしてはどうか」と振られたとき、オジロ先生はどう思いました?

オジロ ああ、なんか……いい予感が(笑)。いけそうな感じがしました。

――大きな子を描くにあたって、どの点で苦労されてますか?

オジロ そうですね……、スペースを大きく使える一枚絵であっても、 顔はそこそこ大きく描かないと映えないじゃないですか。ただ、周囲の子たちをそのサイズで描いてしまうと、牧央が入れたいところまで入らなくなってしまいます。

 ――上場も決して小さくはないですよね。

オジロ そうですね、中2男子で160cmなので、平均よりちょっと上くらいかな。

――牧央と上場の身長差が絶妙で、ちょうど上場の目の前に牧央の胸が来るという……。

オジロ 「身長差カップルあるある」ですよね。

富士山さんの靴を見て、「足も大きい」と感 じる上場。

――身長差を表現して、なおかつふたりを同時に見切れずに入れ込むには、どう対処しているんですか?

オジロ ちょっと角度をつけたりしてます。じつは、構図的にウソをついているんですね。

――ちなみにご自身のまわりに大きな子っていました?

オジロ いました。「週刊ヤングマガジン」(講談社)で連載していたときに、アシスタントに入ってくれた子が174cmありましたね。

――その子のことが、作品に活きていたりします?

オジロ 「身長差カップルあるある」とか「大きい女の子あるある」みたいな。ネタ的に拾えたり、拾えなかったりしますけどね。 たとえば1巻で、上場が牧央の足が大きいと感じるところとか。あとは、旅館に行ったときにひとしきり頭をぶつけたり、 仲居さんに「(浴衣が)短いですかねぇ?」って言われたりとか。 大きい子ならではの「この子、かわいいぞ」ってポイントはありますよね。

  • [注1]「漫画アクション」 双葉社から1967年に創刊された、青年マンガ雑誌。現在も月2回発刊されている。
  • [注2]『The❤かぼちゃワイン』。三浦みつるの作品。背の低い硬派な主人公・青葉春助と、背の高いヒロイン・朝丘夏美(通称エル)の織りなすラブコメディ。1981年から「少年マガジン」にて連載。翌年にはテレビ朝日系列でゴールデンタイムに放映された。当時どれほど「ラブコメ・ブーム」だったかがうかがいしれる。春助くん、だ~いすきっ。
  • [注3]木村沙織選手 女子バレーボール選手。身長185cm。2002年に全日本代表チームから強化合宿に招集され、同年9月のアジア選手権に出場。以降世界選手権やワールドカップ2011、ロンドンオリンピックで活躍し、現在はトルコリーグ・ガラタサライに所属している。

単行本情報

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