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「普通の書店で買えないマンガ」ベスト4 【あの書店に聞く!! ガケ書房】

2014/11/20


一度見れば忘れられない、店先にある車のオブジェが印象的な京都の名物書店・ガケ書房。
個性的なのは外観だけではない。最大の特徴であるこのお店の商品セレクトの基準は「おもしろい」ことだ。

そのため、店内に陳列されているのは、一般書籍からミニコミ誌、はてはホチキスで綴じられたコピー本まで様々。オンリーワンの魅力を放つ本が集結している魅力的なラインナップは、本好きの目を飽きさせない。

そんなこだわりあふれる本が集結する空間では、いったいどんなマンガが売れているのか……。
今回は店長の山下賢二さんに、ひときわ個性が際立つ、普通の書店では買えない個人制作の「ひとり出版」マンガを4作品をチョイスしていただいた。

ガケ書房イチオシの4冊!!

『磯辺チクワちゃんのお話』スケラッコ

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『磯辺チクワちゃんのお話』
スケラッコ \602+税
(2014年5月5日発行)


本作の主人公は、桜の咲く風の強い日に生まれたイカのような頭の不思議な人間(?)を父に持つ女の子。
どこにでもいる普通の25歳の女の子であるチクワちゃんと、その一家を描く日常マンガです。

作者のスケラッコさんは内気度全開の方で、最近ポチポチと「ITAN」で作品を発表したり、グッズがバカ売れしているマンガ家さんです。買われていく方も、内気そうな女性が多い(!?)ように感じます。

いま注目のマンガ家さんなので、まずは一冊読んでみてください。

『おかもちろう』しろうべえ書房

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『おかもちろう』第3号
しろうべえ書房 \800+税
(2014年8月31日発行)


編集長・しろうべえ率いる、しろうべえ書房が放つアナーキーな地域コミック誌です。

しろうべえは、マンガの寄稿、描き手の募集、編集、印刷&製本(輪転機を購入して自宅で作業!)をすべて自前で行います。漫画家、編集、印刷所を一手にこなす、まさに「ひとり出版」といえる雑誌です。

普段は書店というよりはバーのカウンターやラーメン屋などで販売しているようです。出前のおかもちに本誌『おかもちろう』を入れて、移動販売を行うなんてことも……!

そしてなんといっても、編集長・しろうべえが描くマンガにもご注目を。彼の作画クオリティも、なめてはいけないレベル……かもしれないですよ。
さらには、Youtubeにて自前の酩酊番組も開始するなど、しろうべえの勢いは止まりません。

しろうべえの実父65歳が初めて描いたというマンガ作品など、様々なカルトな作品がそろっているので、お見逃しなく!

『Studies』有本ゆみこ

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『Studies』
有本ゆみこ \2300+税
(2014年8月発売)


刺繍をモチーフに入れた洋服ブランド・sinaを運営する、多才な有本ゆみこ嬢の最新マンガ作品集です。

70~90年代的なタッチを自由自在に行き来する不思議な作風が特徴で、イラスト中心の構成になっています。
言葉の選び方もセンスにあふれており、そのネームセンスは前作『flight』でも披露されていますので、ぜひ一緒にお楽しみください。


『人間VS犬』今井栄一

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『人間VS犬』
今井栄一 \250+税
(2012年9月2日第3版発売)


けっこう前の作品なのですが、どうしても紹介したい!
本作は、ひまつぶしに最適な短編マンガを量産する、今井栄一が手がけた名作です。
今回ピックアップした『人間VS犬』はニートになった犬(ジョン)と飼い主であるお父さんの成長物語なんですが、ニート=犬(!?)……とまあのっけから笑えます。

彼は、ほかに『犬以下』『人間不信』『ヒマラヤの巨匠』『孤独』などの名作群を手がけています。さらにはコミック誌「ロケット」発行人としての顔も持つという、変幻自在さですよ。

バカバカしさを通り越して、深読みしてしまいそうな脱力ワールドがとても魅力的な作品です。

ところ狭しと並べられた本たち。「いつもの本屋」とは違う、不思議な陳列棚は一見の価値あり

ところ狭しと並べられた本たち。「いつもの本屋」とは違う、不思議な陳列棚は一見の価値あり


店舗情報:ガケ書房

〒606-8286
京都市左京区北白川下別当町33
電話:075-724-0071
営業時間:12:00 ~ 22:00 (ライヴの開催日は通常営業午後6時まで)
定休日:元旦のみ休み
URL:http://www.h7.dion.ne.jp/~gakegake/

構成協力:山田幸彦

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