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『魔法少女サイト』第2巻 佐藤健太郎 【日刊マンガガイド】

2014/09/22


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『魔法少女サイト』第2巻
佐藤健太郎 秋田書店 \429+税
(2014年9月8日発売)


不幸な少女へ契約をもちかける謎のインターネットサイト「魔法少女サイト」。
契約によって得た魔法の力で自分を傷つけるものに報いを与える魔法少女達の交流やかけひき、そして憎悪に満ちた争いを描くダークファンタジーが本作だ。

主人公は家庭でも学校でも虐待を受けている女子中学生・朝霧彩。
ある時、命と貞操の危機にさらされた彩は、魔法少女サイトから贈られた拳銃型「魔法のステッキ」を発動させ、狼藉者を死に至らしめる。
いつも死にたいと望んでいたのに結局それを恐れ、逆に人殺しの罪を背負う皮肉。少女は魔法少女となった結果、よけい理不尽な運命に陥っていく。

魔法少女ジャンルは旧来、日常のなかで生じる問題を解決したり、夢へ近づく支えとしての魔法を描いてきた。
それがやがて変身戦闘ヒロインの文脈と重なって、今は“戦闘魔法少女”とでもいうべき独特の分野が浮かび上がっている。
そこではしばしばヒロインの戦いは、日常を守る願いの代償として仕組まれることになる。

だが『魔法少女サイト』は、そこからさらに一歩、深い闇へと踏みこんでいる。
彩にとって日常はすでに暴力に侵され、生きるか死ぬかの戦いだ。日常の平和/非日常の戦いという区別がそもそも存在しないのである。
また、ある魔法少女は強盗殺人で親を亡くした過去をもつが、彼女はただ仇をうつため魔法を用いて犯人を惨殺した。願いの代償でしかたなく暴力に身を投じるのではない。願いそのものが暴力的なのだ。

残酷な力を手にした少女たちが、残酷な現実から残酷な非現実へ飛びこみ、残酷な生存競争を繰り広げる。
悲惨な世界観を徹底的に描きぬくことで、それはどこか力強い感覚を生んでもいる。

佐藤健太郎は『魔法少女・オブ・ジ・エンド』で魔法少女をゾンビ災害に互換した表現が話題を呼んだ異色の作家。
同作者が少女残酷絵巻としての切り口から魔法少女をあつかう本作もまた、熱い注目を浴びる価値がある。



<文・宮本直毅>
ライター。アニメや漫画、あと成人向けゲームについて寄稿する機会が多いです。著書にアダルトゲーム30年の歴史をまとめた『エロゲー文化研究概論』(総合科学出版)。『プリキュア』はSS、フレッシュ、ドキドキを愛好。
Twitter:@miyamo_7

単行本情報

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