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7月21日は「日本三景の日」。『ハチミツとクローバー』を読もう!【きょうのマンガ】

2017/07/21


365日、毎日が何かの「記念日」。そんな「きょう」に関係するマンガを紹介するのが「きょうのマンガ」です。

7月21日は「日本三景の日」。本日読むべきマンガは……。


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『ハチミツとクローバー』 第7巻
羽海野チカ 集英社 ¥400税


あなたは「日本三景」を知っているだろうか。

江戸時代の初期、全国を行脚した儒学者・林春斎が著書「日本国事跡考」において、卓越した三つの景観をあげた。
太平洋の水平線と多島美が同時に楽しめる宮城県の「松島」、美しい日本海を望める京都府北部にある「天橋立」、そして世界遺産である嚴島神社を有する「宮島」だ。
この日本三景をとりあげた林春斎の誕生日にちなみ、7月21日を「日本三景の日」と日本三景観光連絡協議会が制定した。

さて、羽海野チカの大ヒットコミック『ハチミツとクローバー』には、この「日本三景」のうち「松島」が登場している。
美術大学に通う主人公・竹本は、芳しくない就活ライフ、進まない作品制作、そして恋の痛み……と悩ましい日々を送っていた。ついには「自己」をも見失ってしまい、気づけば自転車を漕いであてなき旅に出ていた……。そう、“THE★自分探しの旅”である。

自転車を漕いで漕いで、漕ぎつづけた結果、「オレ自転車できちゃったよ」と気がつけば竹本が着いた場所こそ「松島」。この「松島」での出来事が彼の人生にとって大きな転機となるのだが……。
実在の場所が多く登場する本作だが、ファンのあいだでも聖地巡りと称して「松島」に訪れる人は多いようとのこと。

著者個人的には、五大堂に架かる「透橋(すかしばし)」のシーンが印象的。
「透橋」は真ん中に2本の板が張られているが、人ひとりがとおれるくらいの幅しかなく、さらにその下は格子状になっていて下の海が見えるのである。
初めてこの橋を歩く竹本は恐怖であまり前に進むことができない。だれだって初めはそうだろう。しかし、しっかりとまわりを見て、松島の美しさや仲間との歓談を楽しむ頃には、すっかりその恐怖は薄らいでいる。 この旅をとおして少しずつ成長し、前を向き直し始めている竹本の心象もあらわれ、胸を打つシーンだ。

さて気づけばもう夏。
「自転車で!」とはいかないまでも、あなたも美しい景観のなかで「自分」を見つけにいきませんか?



<文・はろるどキサラギ>
フリー編集者。見習い感あふれる感じながら、ときに執筆やデザインを手がけることも。アニメとマンガが“ズッ友”。スポーツしてるDKが大好きだと叫びたい。

単行本情報

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