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3月15日は靴の記念日 『IPPO』を読もう! 【きょうのマンガ】

2015/03/15


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『IPPO』第1巻
えすとえむ 集英社 \562+税


1870年(明治3年)3月15日、旧佐倉藩(千葉県)の藩士の商人・西村勝三が、大村益次郎からすすめられる形で築地に日本初となる西洋靴の工場=伊勢勝造靴場を開設。
これを記念して日本靴連盟が1932年に制定したのが“靴の記念日”である。
大村は陸軍の創始者だが、輸入軍靴が西洋人向けで大きすぎるため、日本人の足に合う西洋靴を作る必要にせまられていたのだ。

西村はこれをきっかけに西洋靴のみならず、洋服にも強い関心を持つようになり、翌年には銀座一丁目に日本初の洋裁裁縫店をオープン。
日本の一般社会における西洋ファッション文化は、ここから始まったといっても過言ではないだろう。

それから142年後の日本。
2012年1月発売の「ガールズジャンプ」に、えすとえむの「IPPO」という読み切りが掲載された。イタリアの祖父のもとで修行をしていた靴職人のアユムが、日本でオーダーメイド靴工房「IPPO」を開くまでの物語だ。
これがプロトタイプ版となり、「ジャンプ改」での『IPPO』連載につながっていく(2014年12月より「グランドジャンプPREMIUM」に移籍)。

アユムの本名は一条歩、略して一歩=IPPOが店名の由来。まだ22歳の若者だ。
しかし彼は12歳のときに両親の離婚を契機にフィレンツェに飛び、イタリア人の祖父で有名な靴職人であるフィリッポ・ジェルリーニのもとで修行を開始した。17歳のときには靴職人として、すべての工程を任されるほどの腕となった才能と実績の持ち主である。
そんな彼が吉祥寺に構えた小さな靴店に、彼の腕を聞きつけたさまざまな人たちが、さまざまな理由で手製靴を作りに訪れる。
アユムは一人ひとりの足を丁寧に観察し、どのようなシーンではくのかを鑑みてデザインし、材料を選び、すべての工程をひとりで決めて作業を行っていく。

ほとんどの客はアユムの若さに驚き、30万円からと非常に高価な手製靴を任せることに戸惑いを覚える。
だが、自分の足にピッタリとフィットした靴をはいた瞬間、なんともいえない表情を浮かべ、満足げにIPPOを後にするのだ。

えすとえむ独特の白を基調とした世界観は、物語から余計な情報を取り除き、キリッとした読み口を与えてくれる。
真摯に靴作りに向き合うアユムの姿を見ていると、こちらの姿勢も正されるようだ。

今日ぐらいは汚れた靴を磨いて、颯爽と歩こうではないか。



<文・奈良崎コロスケ>
68年生まれ。マンガ、映画、バクチの3本立てで糊口をしのぐライター。中野ブロードウェイの真横に在住する中央線サブカル糞中年。4月4日公開・松尾スズキ監督『ジヌよさらば~かむろば村へ~』の劇場用プログラムに参加します。
「ドキュメント毎日くん」

単行本情報

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