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『漫犬 ~エロ漫の星~』第2巻 金平守人 【日刊マンガガイド】

2015/05/10


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『漫犬 ~エロ漫の星~』第2巻
金平守人 少年画報社 \595+税
(2015年4月16日発売)


曲者だらけの「月刊コミックビーム」誌で、90年代後半から約15年以上にわたって濃密な巻末ギャグマンガ(『金平劇場』『カネヒラデスカ?』ほか)を手がけてきた異才・金平守人の最新作(全2巻)。

主人公は、「漫画家マンガの傑作」の呼び声も高い前作『エロ漫の星』(少年画報社/全2巻)にも登場していた、犬の漫画家・村山ジョン。
「犬の漫画家」と言われてすぐ納得できる人もなかなかいないと思われるが、とにかく見た目からしてまんま犬なんだからしょうがない(人間の言葉は話せます)。
そんな謎の漫犬・ジョンが、同じマンガ専門学校に通うハガキ職人の三峯徹[注1](実在する投稿ハガキ職人)と出会って、切磋琢磨しながら人気エロ漫画家を目指していく、というのがストーリーのメインである。

エロマンガ&マンガ制作の現場が抱える専門知識を織りまぜながらテンポよく物語は進んでいく。
軽妙なメタギャグやパロディネタを多々含んではいるが、「エロマンガにおける技法の分解・解説」アプローチがメインだった前作『エロ漫の星』と違い、今作で作者が真正面から取り上げているのは「マンガ創作とは何か?」という真摯なテーマ。

トキワ荘っぽい漫画家アパートや有害コミック指定など、様々なイベントや障害にもまれながら、主人公は少しずつ「自分がなぜマンガを描くのか」に近づいていく。
そんな大事なネタをやるのになんで主人公がしゃべる犬とカルトハガキ職人なのよ……とは思いつつも、エモーショナルなマンガ文法を駆使してぐいぐい盛り上げていくので、読み終える頃には不覚にも「じ~ん」としてしまった。

作者の作品に長く親しんできた筆者的には「普段ふざけてる人がマジになったときの説得力倍増効果」(?)もある気もするが、このアンビバレンツな読後の充実感は大きな「収穫」でした。

底なしにくだらない並行連載の『満腹! この○○がエロい!!』(秋田書店)もオススメ!

注1 三峯徹 成年向けコミック誌を中心に活躍するハガキ職人。投稿されるハガキは、ちょっとアレなイラストがメイン。2010年には『タモリ倶楽部』(テレビ朝日)で特集が組まれるなど、カルト的な人気を博す。



<文・大西祥平>
マンガ評論家、ライター、マンガ原作者。著書に『小池一夫伝説』(洋泉社)、シリーズ監修に『ジョージ秋山捨てがたき選集』(青林工藝舎)など。「映画秘宝」(洋泉社)誌ほかで連載中。

単行本情報

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