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『あしたのジョーに憧れて』第1巻 川三番地 【日刊マンガガイド】

2015/07/08


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『あしたのジョーに憧れて』第1巻
川 三番地 講談社 \560+税
(2015年6月17日発売)


『風光る』、そして現在も連載中の大長編『Dreams』など野球マンガで知られる川三番地の自伝的マンガが登場、大きな話題を集めている。

ときは昭和50年代前半。漫画家志望の田中くん(川三番地の本名)は、子どもの頃からの憧れだったちばてつやの仕事場にやってくる。
それまで独学でしかマンガを描いたことのない田中少年は、日本のトップを走る漫画家の生原稿を見て驚嘆するのだった……!

本作は、新米アシスタント田中くんの成長の道程を描くとともに、彼の目を通し、『あしたのジョー』(原作・高森朝雄)を世に送り出した巨匠の仕事の現場を伝える激動のルポマンガとしても価値が高いといえよう。

時期としてはちょうどちばが『おれは鉄兵』『のたり松太郎』 を連載していた頃。
ワク線引きに始まり、集中線の引き方、トーンの削り方など覚える技術は山ほどある。アシスタントの先輩たちはみな優しいが、手取り足取り教わっている時間はない。
先輩方の仕事の手を止めないために、原稿に向かう背中ごしに食い入るようにのぞきこみ、テクを吸収しようと必死な田中くんの姿は、川三番地作品の主人公そのものだ。

いやはや、作中に差しこまれる“手作業による技術”の作例の数々は目を見はるばかり。あらためて、日本の漫画家たちが磨きあげてきた肉筆の技術におそれいってしまう。
背景のビル、小道具の一つひとつさえも血の通った温かい線で表現することにこだわるちばてつやのもと、スタッフ全員が一丸となって最高の原稿を仕上げようとする……その熱気が、震えるような感動をもたらす快作である。

近年、漫画家生活を綴った自伝的作品は増えているが、当然ながらどの作品にも違った輝きがある。漫画家の青春譚、もっともっと読みたい!!

 

<文・粟生こずえ>
雑食系編集者&ライター。高円寺「円盤」にて読書推進トークイベント「四度の飯と本が好き」不定期開催中。
「ド少女文庫」

単行本情報

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