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『あの日、制服で』 中村明日美子 【日刊マンガガイド】

2015/10/25


日々発売される膨大なマンガのなかから、「このマンガがすごい!WEB」が厳選したマンガ作品の新刊レビュー!

今回紹介するのは、『あの日、制服で』


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『あの日、制服で』
中村明日美子 リブレ出版 ¥629+税
(2015年9月10日発売)


中村明日美子の作品が好きか、と聞かれたら困る。

多くの作品に漂う空気感の、痛々しいまでの透明感。
人の弱さや汚さや醜さを裸にする、ナイフのような鋭さ。
氏が描く恋人(愛人、情夫、ときに主従の2人)からは、愛は深くなればなるほど痛いものなのだと思わされる。

せつなさと悲哀に胸が押しつぶされそうな読後感が待っている、それを知っているのに、つい作品を手に取ってしまうのは、その絵が美しすぎることもあるが、そればかりではない。
私たちはみな、本を開いた最初のページで、もう魅惑的な登場人物たちから目が離せなくなってしまうのだ。

BL特有の背徳感のなか、相手を蔑むような冷たい瞳や、怯えるような気弱な表情を見せるキャラクターたち。
一人ひとりの魅力もさることながら、氏は、彼らが隠し持つ愛情、衝動、欲望が交錯し、接近し、激しく絡み合うまでの激流を、静かに、とても静かに紡ぐ。その静けさがまた、私たちを釘づけにするのかもしれない。

そして極めつけは、交わる彼らの荒々しく、艶めかしく、本能に従順なエロス。作品全体が冷たい空気をまとうのに、彼らのキスや吐息や重ね合う体の熱さが迫ってくるカラミシーンに突入したら、もうこっちだって後には引けないのである。
そう私、中村明日美子の作品については好きとか嫌いとかでなく……もはや中毒なのである。

さて、長くなったが、本書はそんな氏による、十代の恋にまつわるオムニバス。
ただでさえ背徳感や罪悪感が漂う氏の作品、そこに十代特有の「若気の至り」が加わるのだから、もうイタいわ、恥ずかしいわ、エロいわでたいへん!

高校時代に告白された“アイツ”が、同窓会で再会したら結婚していて……というシーンから始まる表題作をはじめ、B先輩を想いながらA先輩とつきあってしまうC少年の話「A先輩」、転校生が女性用下着を着けているのを知ってしまう「転校生」など、激しめな設定盛りだくさん、でも「やっぱり十代って純粋よねぇ~」とどこか甘酸っぱい一冊なのです。



<文・藤咲茂(東京03製作)>
美酒佳肴、マンガ、ガンダム、日本国と陸海空自衛隊をこよなく愛し、なんとなくそれらをメシのタネにふらふらと生きる編集ライター。

単行本情報

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