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『櫻子さんの足下には死体が埋まっている』第1巻 太田紫織(作) 水口十(画) 鉄雄(キャラクター原案) 【日刊マンガガイド】

2015/12/16


日々発売される膨大なマンガのなかから、「このマンガがすごい!WEB」が厳選したマンガ作品の新刊レビュー!

今回紹介するのは、『櫻子さんの足下には死体が埋まっている』


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『櫻子さんの足下には死体が埋まっている』第1巻
太田紫織(作) 水口十(画) 鉄雄(キャラクター原案) KADOKAWA ¥580+税
(2015年11月21日発売)


死体は雄弁に事実を語る。だから世の中には「法医学」というものがある。
現在アニメ放映中のこの作品は、死体から何が起きたのかを読み解いていくミステリー。
しかし、「死んだ原因」は明かしても、「なぜ死のうとしたか、あるいは殺されたのか」にいっさい踏みこまない。
なぜなら、ヒロインの九条櫻子は、骨が好きなだけだからだ。

ありとあらゆる骨を愛する櫻子。
美しいご令嬢で、骨格標本を作る「標本士」。
普段から山奥やら海辺やら、高校生の館脇正太郎(たてわき・しょうたろう)を連れて車で走り回り、死骸を拾い集めている。

普段拾うのは、小動物。ときに大きな鹿を拾ったりもする。
そしてうろつくうちに、人骨を拾うこともある。
大抵の人間なら人骨を見たら、事件性を考えてあわてるものだ。
だが九条櫻子にとっての人骨は、芸術品。喜んで家に持って帰ろうとする。

たとえば山奥にある完全に白骨化した死体。
櫻子は身につけていた服、ミイラ化した身体の一部、骨の状態を見て、すぐに亡くなった時期や人物の行動を推理していく。
骨の損傷の様子を見れば、死んだ理由を読み解くことができる。人種や性別、歯の摩耗度から年齢までわかる。調査のために持ち帰って時間をかけるまでもなく、一瞬で見極める彼女の能力は、かなりすごい。

遺族や関係者が知りたいのは、死因じゃない。理由だ。
自殺なのか、他殺なのか。自殺だとしたらなぜ死のうとしたのか。
櫻子はまったく理由に興味を持たない。
ウジがわき、動物たちが集まり、周囲に新たな命の楽園を築く。白骨はその循環の生み出した傑作。これが彼女の視点だ。

マンガ版での彼女の表情の変化がおもしろい。
死体や白骨を見ると、テンションがあがってキラキラした顔になる。
警官や正太郎が焦って「理由」を求めると、とたんに興味を失う。

骨愛ずる姫君。骨大好き櫻子さん。
彼女が喜々として骨拾い日和を楽しむ姿は、まるで無邪気な子どものようだ。



<文・たまごまご>
ライター。女の子が殴りあったり愛しあったり殺しあったりくつろいだりするマンガを集め続けています。
「たまごまごごはん」

単行本情報

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