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『クミカのミカク』第1巻 小野中彰大 【日刊マンガガイド】

2016/02/13


日々発売される膨大なマンガのなかから、「このマンガがすごい!WEB」が厳選したマンガ作品の新刊レビュー!

今回紹介するのは、『クミカのミカク』


KUMIKAnoMIKAKU_s01

『クミカのミカク』第1巻
小野中彰大 徳間書店 ¥620+税
(2016年1月13日発売)


今まで食事の経験がなかった女の子が、極限の空腹のなかで、初めて食べものを口に入れる。
その瞬間の衝撃、感動、快感――。
それをまるで読者の実体験のように、表情で、そして態度で伝えてくれるのが、このマンガのヒロイン・クミカ。 じつに魅力的な女の子だ。

宇宙人が「外星人」と呼ばれ、ごく普通に日常になじんでいる世界。
第2クロロジウムを母星に持つクミカは、大気から栄養が取れるために食事をする必要がない。

そんな事情を知りつつも、クミカと同じデザイン会社に勤める先輩・チヒロは、彼女が同僚との食事にすら、一度も現れないことを気にしている。
ある時クミカが重い風邪を引き、マスクにさえぎられて彼女が栄養も取れなくなっていることに気づくチヒロ。
チヒロは倒れたクミカのために料理し、ついにクミカが体験した、生まれて初めての食事とは……。

このマンガのポイントは、やはりクミカのキャラクターに尽きるだろう。
故郷の貧しい星にいる両親のためもあって、とにかく仕事に全力で取りくむがんばり屋さんなのだ。
加えて結構不器用、人づきあいも苦手、とにもかくにもぎこちない。
しかし母星では究極のぜいたくだった食事というものを知り、友だちづきあいも始め、徐々に世界に対して開いていく。
そんなクミカの変化がいとおしく、見ていてついつい応援したくなってしまう。

またクミカ以外にも様々な外星人が登場し、それぞれが個性的。
異種交流のおもしろさも満載だ。

最後に、クミカの視線をとおして、食事というもののすばらしさを語っていることも明記しておきたい。
食事は、たんに空腹を満たすためのものではない。
ひとつの食材にも、たくさんの人々の労力があってこそ食卓に並ぶのだし、さらには素材には必ず、一つひとつの大切な命がある。
そんな重要なメッセージも、クミカがたっぷりと伝えてくれます。

笑って泣ける、非常に奥が深い1冊。
あなたも、じっくり味わいつつ読んでみてください。



<文・山王さくらこ>
ゲームシナリオなど女性向けのライティングやってます。思考回路は基本的に乙女系&スピ系。
相方と情報発信ブログ始めました。主にクラシックやバレエ担当。
ブログ「この青はきみの青」

単行本情報

  • 『クミカのミカク』第1巻 Amazonで購入

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