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『とつくにの少女』第1巻 ながべ 【日刊マンガガイド】

2016/04/08


日々発売される膨大なマンガのなかから、「このマンガがすごい!WEB」が厳選したマンガ作品の新刊レビュー!

今回紹介するのは、『とつくにの少女』


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『とつくにの少女』第1巻
ながべ マッグガーデン ¥571+税
(2016年3月10日発売)


白黒のはっきりした絵柄、版画のような線。
きわめてわかりやすい単語だけで交わされる会話、優しさと不穏さの混じった空気感。
これは大人のための絵本。

森のなかに住む、幼い少女シーヴァと、口がなくヤギのような角を持つ「せんせ」。
2人は一緒に暮らしている。シーヴァはせんせが大好き。
しかしせんせは、自分にさわっちゃだめだ、と強く言い聞かせる。
「呪いを貰うよ」
すぐ側にいながら、お互いを大切に思いながらも、触れあうことが絶対できない、不思議な関係。

シーヴァ視点だと、大好きなせんせと、豊かな自然に囲まれ、とてもあたたかくて幸せな世界に見える。
しかし、せんせ視点だと、この世界における「外(森の中に住む自分たち)」と「内(城壁の中の人間)」の断絶、自分たちが「外」扱いされて「内」のものに命を狙われている不安、シーヴァが虐げられかねない悲しみに覆われている。

いったい何が外と内を分けているのか、呪いとはなんなのか、せんせとシーヴァはどういう関係なのか。現時点ではいっさいわかっていない。

ただ、幼いシーヴァとせんせの関係は、あまりにもはかなく美しい。
せんせは、愛するシーヴァに触れたい。けれど絶対触れてはいけない。
2人は手をつなぐことも許されない。
傘の先端と手元を握って、森のなかを歩いていくシーンは、純粋でせつない。

「シーヴァが傷つき悲しむことから 私は守ってやらねばならない だがしかし シーヴァが悲しい事態に陥ってしまったとき 私には なにができるのだろうか」

呪いの意味や、虐げられる理由にはたいへん興味がわく。
しかし、それ以上に、2人が距離を保ちつつ、ともに過ごす様子を、人と人ならざるものの生活の様子を、もっともっと見たくなる。



<文・たまごまご>
ライター。女の子が殴りあったり愛しあったり殺しあったりくつろいだりするマンガを集め続けています。
「たまごまごごはん」

単行本情報

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