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『ギャングース』第12巻 肥谷圭介 (画) 鈴木大介(協) 【日刊マンガガイド】

2016/06/16


日々発売される膨大なマンガのなかから、「このマンガがすごい!WEB」が厳選したマンガ作品の新刊レビュー!

今回紹介するのは、『ギャングース』


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『ギャングース』第12巻
肥谷圭介(画) 鈴木大介(協) 講談社 ¥552+税
(2016年5月23日発売)


窃盗団や詐欺集団など、犯罪組織が不当な手段で得た大金だけを狙ってタタキ(窃盗や強盗を指す隠語)を行う少年たちを描くクライムストーリー。
しかし、ここで描かれるのは、いわば悪が悪を討つダークヒーロー的な爽快感よりも、底辺社会で生きるしか選択肢のなかった少年少女たちの“リアル”をベースにしたシビアな要素が大きい。

そのテイストが如実に顔を見せたのが、前巻での展開。
いわゆる「オレオレ詐欺」のグループを束ねる半グレの頂点・安達をターゲットにしたタタキは無残にも失敗に終わり、主人公のカズキたちの仲間であった加藤が事故に見せかけて殺害されてしまう。そして復活の糸口も見えないまま、今度は少女売春の現場に身を置くカズキの妹が登場し……と、どんよりムードにもほどがあるまま最新刊の第12巻へとなだれこんでいた。

だが、いつまでも打ちひしがれたままのカズキたちではない。
まったくもってシャレにならない状況ではあるものの、カズキの持ち前のふてぶてしさと、尋常ではないポジティブ思考が、こんな時ばかりはたのもしい。
小さな手がかりから少しずつ、本当に少しずつ、再びタタキの仕込みを進めていく展開は、まさしく賽の河原で小石を積みあげるかのごとし。

「巨悪を倒してスカッと快感!」といったたぐいの展開を求める向きにはストレスとすら言える緊張感かもしれないが、なにひとつうまくコトが運ばないなかでも希望を捨てないカズキたちの“悪あがき”こそが、本作ならではの魅力だ。ともすれば犯罪礼賛にもなりかねないセンシティブなテーマを扱いながらも、不思議と嫌な読後感が残らないのは、彼らの善悪を超えた生への前向きな姿勢に由来する……のかもしれない。

そしてストーリー上のもうひとつの見どころは、加藤に遺志を託されたカズキはもちろん、新たに詐欺グループの番頭となった来栖もまた、加藤とは浅からぬ絆で結ばれているということ。

やがては衝突することになるであろうカズキと来栖に何が起こるのか……。
今後もまだまだ、彼らの動向から目が離せない。



<文・大黒秀一>
主に「東映ヒーローMAX」などで特撮・エンタメ周辺記事を執筆中。過剰で過激な作風を好み、「大人の鑑賞に耐えうる」という言葉と観点を何よりも憎む。

単行本情報

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