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【日刊マンガガイド】『Z~ゼット~』第2巻 相原コージ

2014/08/01


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『Z~ゼット~』第2巻
相原コージ 日本文芸社 \590+税
(2014年7月19日発売)


頭を撃ち抜いても死なないどころか、切断された部位(生首、足、指など)も決して活動を止めないゾンビが街を跋扈(ばっこ)するパンデミック系ホラーの第2巻。
現在『ほんとにあった怖い話』『リングO ~バースデイ~』の鶴田法男監督で映画「Z ~ゼット~果てなき希望」も公開中。

確固たるジャンルとして定着し、(映画やマンガの中で)さまざまなタイプのゾンビが人々を喰い散らかしてきたが、どの作品もジョージ・A・ロメロが考案した“脳が破壊されれば活動を停止する”タイプがベースで、それがルールとして我々のなかに刷り込まれている。
しかし相原コージは「すでに死んでいる存在なわけだから、もう一度死ぬというのがどうも納得いかない」と、そもそも論を提示。誰もが疑問に思いながらも「まぁ、そういうモノか」とやりすごしていたツッコミどころを、あえてほじくり返したのである。

この“死なないゾンビ”設定に加えて、時系列がランダムに展開するのが本作のミソ。動物を中心に感染がジワジワ広がりつつある発生初期、街中にゾンビがあふれ、人々がパニック状態となって逃げ惑う発生中期、ゾンビの対処法を確立し、平穏な日常を取り戻している発生後期。1話ごとに主人公が入れ替わるオムニバス形式が取られるが、どうやら発生中期で活躍する薙刀の少女・戸田凛子がヒロインのようで、彼女が狂言回し的な存在となって物語を引っ張ってくれている。

1巻の終盤では、凛子が救い出した女子中学生・火野原あかりの義姉(妊娠中)が、壮絶な死を遂げ、混沌としたなかで少女たちは子宮から新生児を取り上げた。2巻ではその続きが描かれ、凛子は「こんな地獄のような世界でも 命が生まれてくることが 逆に希望なのかもしれない」と前を向く。このセリフこそが本作の土台。

名前のとおり凛々しいヒロインが毅然と立ち上がる一方で、どんなに窮地に陥ってもパンチラやオッパイやオナニーやセックスのことばかり考えている情けない男たちが山盛りで登場するが、それすらも種の保存という本能を失わない人間の強さの現れなのである! それを押しつけがましいメッセージにはせず、栗の花臭さが漂う“おかしみ”として描いてしまうのが相原コージのすごいところだ。



<文・奈良崎コロスケ>
68年生まれ。東京都立川市出身。マンガ、映画、バクチの3本立てで糊口をしのぐライター。中野ブロードウェイの真横に在住する中央線サブカル糞中年。
ドキュメント毎日くん

 

単行本情報

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