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『ゆるめいつ』 第6巻 saxyun 【日刊マンガガイド】

2016/11/29


日々発売される膨大なマンガのなかから、「このマンガがすごい!WEB」が厳選したマンガ作品の新刊レビュー!

今回紹介するのは、『ゆるめいつ』


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『ゆるめいつ』 第6巻
saxyun 竹書房 ¥650+税
(2016年10月27日発売)


『ゆるめいつ』は大学受験を目指す若者たちが暮らすアパート「メゾン・ド・ウィッシュ」を舞台に、主人公のゆるめちゃん、先輩浪人生のサエさん、くみさん、松吉の4人を中心に描く脱力系4コマ。
ちなみに著者名の「saxyun」は「さっきゅん」と読む。

この巻ではゆるめちゃんの田舎からゆるめちゃんを追って幼なじみの野生系男子が現れ……!
なんて展開は何もなく、タイトルのとおりいつものようにゆるゆると変わらない日々が続いていく。
ふと振りかえると押し潰されそうになる焦燥感に全力で目をつむり、耳をふさぎ、顔を合わせれば飲み会に突入。どうあっても勉強だけは回避。モラトリアムここにあり。そんな日々。
連載開始から11年が経過して、今やベテラン浪人生となったゆるめちゃん。
最新刊でも変わらずローテンションかつダウナーでオフビートなギャグが展開される。

毎回のパターンはだいたいこう。
ゆるめちゃんがサエさんと部屋で漫才的にだべっていると、たいてい4本目ぐらいでくみさんが割り込んできて話をこじれさせる。
そしてお酒を片手に松吉が現れ、宴会に突入してグズグズになって終了(もしくは宴会と無縁なまま松吉が悲惨な目にあって終了)。
登場人物はほぼ4人のみと少ないが、ゆるめちゃん=起、サエさん=承、くみさん=転、松吉=結と、各人が話づくりに欠かせない役割を負っていたのだ(バーン!)。
いや、そうでもないか。

おもしろポイントはいろいろあるが、個人的に毎回のくみさんの登場コマがお気に入り。
節分の鬼にかわる新たなお面を持ってきたり、クリスマスにサンタのコスプレをして登場したりと「仕込み」がきっちりしている時もおもしろい。
けれど、個人的にはふらりと現れて徒手空拳で会話に割って入るノープラン系が好み。
言葉ひとつでまわりを翻弄し、混乱と混沌をもたらすかき混ぜっぷりにはほれぼれさせられる。

"萌え系4コマ"ときっといえるかわいい絵柄ながら、かたくなに人としての前進を見せないゆるめちゃん!
浪人系女子として、不動のポジションを築き上げているといってもいいだろう。

『ゆるめいつ』の"ゆる"は、揺るがないの"ゆる"でもあったのだ(バーン!)。



<文・秋山哲茂>
フリーの編集・ライター。怪獣とマンガとSF好き。主な著書に『ウルトラ博物館』『ドラえもん深読みガイド』(小学館)、『藤子・F・不二雄キャラクターズ Fグッズ大行進!』(徳間書店)など。構成を担当した『てんとう虫コミックスアニメ版 映画ドラえもん 新・のび太の日本誕生』が発売中。4コマ雑誌を読みながら風呂につかるのが喜びのチャンピオン紳士(見習い)。

単行本情報

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