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11月28日は北海道初の鉄道が開通した日 『青春鉄道2016年度版』を読もう! 【きょうのマンガ】

2016/11/28


365日、毎日が何かの「記念日」。そんな「きょう」に関係するマンガを紹介するのが「きょうのマンガ」です。

11月28日は北海道初の鉄道が開通した日。本日読むべきマンガは……。


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『青春鉄道2016年度版』
青春 KADOKAWA ¥714+税


明治の初期、当時たちあげられたばかりの政府は国内で石炭資源を確保すべく北海道の開拓に着手した。
アメリカからお雇い外国人技師を招いて開発計画を進めた際、炭鉱から1年中安定して石炭を運び出すために港まで続く鉄道が必要だと立案され、その建設が決定。

まずは港のある小樽で1880(明治13)年1月に着工し、同年11月下旬に入って小樽市内の手宮~銭函間で仮運転がおこなわれたのち、11月28日には手宮から札幌までを結ぶ35.9キロが開通。
これが北海道で初めての鉄道「官営幌内鉄道」の開業記念日となった(なお、手宮から炭鉱のある幌内までの全線開通は2年後の明治15年)。

それから130年以上がたった21世紀。
我々はリアルタイムで「北海道で初めての」という枕ことばがつく鉄道路線の誕生をみることになった。

そう、今年3月に新青森~新函館北斗間で開業した、北海道初の高速鉄道「北海道新幹線」だ。
きょうは、その北海道新幹線が登場するマンガ『青春鉄道』を紹介したい。

形式としてはいわゆる擬人化もので、登場人物はみな、日本全国にある無数の鉄道路線をバラエティ豊かな造形の美青年たちに変換している。
路線ごとの地域性や関連した出来事をキャラの性格に反映させてにぎやかに騒ぐ楽しいコメディなのだが、それだけではない。

具体的な数字や鉄道会社を挙げつつのマニアックな話題が満載なうえ、ページ柱の豆知識コーナーも充実。その情報量はもはや“資料”と呼べるレベルだ。
経営がうまくいっている路線と閑古鳥が鳴いている路線の明暗や、事故の話題なども容赦なく会話シーンに盛りこまれ、きれいごとだけではすまさず真摯に題材と向きあう手筋に好感が持てる。

単行本が年度でシリーズ化しているのも資料的な趣を出しており、北海道新幹線は、まず『2016年度版』に初登場。
この巻が出た2015年いっぱいはまだ開業直前ということで、アタマに紙袋をかぶって顔が見えない演出が施されていた。
そして今月発売された新刊『2017年度版』で、リアルの開通をふまえてとうとう正式にお目見え。
直通している先輩・東北新幹線との関係など、現実のようすをふまえて読むと味わい深いやりとりを目にすることができる。

まずは本作を読んで北海道新幹線に親しんでから、当地における鉄道のパイオニアたる官営幌内鉄道まで思いをはせてみるのはいかがでしょうか。



<文・宮本直毅>
ライター。アニメやマンガ、あと成人向けゲームについて寄稿する機会が多いです。著書にアダルトゲーム30年の歴史をまとめた『エロゲー文化研究概論』(総合科学出版)。『プリキュア』はSS、フレッシュ、ドキドキを愛好。
Twitter:@miyamo_7

単行本情報

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