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『このマンガがすごい!2015』オンナ編第1位記念インタビュー 阿部共実『ちーちゃんはちょっと足りない』【前編】好きな表現をして生活できる漫画家ってテンション上がる

2014/12/22


水が合いそうだと感じた 「チャンピオン」でのデビュー

――週刊少年誌のなかでも「週刊少年チャンピオン」を選んだのは?

阿部 その時、自分は女の子ばかり出てくるマンガを描いていて……週刊少年誌のなかでチャンピオンだけは女の子が主人公のマンガがかなり多かったということはあります。また、自分が大きく影響を受けた『サナギさん』(施川ユウキ)[注10]をはじめ、『みつどもえ』(桜井のりお)[注11]や『24のひとみ』(倉島圭)[注12]など、女の子がかわいいのにギャグも切れてるショート作品が増えてて。スタイリッシュでかっこいい少年誌ってイメージを持っていたこともありました。

――たしかに「チャンピオン」は個性的なギャグ作品が強くて、とがってるイメージがありますね。

阿部 あと、そのほかに「チャンピオン」は比較的自由に描きたいものを描かせてくれそうってイメージがあって。実際、今のところ描きたいものを描かせてもらえてますね。いや、もちろん打ち合わせなどではいろいろ話し合いなどはしてるのですが、かなり尊重してもらってると思います。

――阿部先生のデビュー作『破壊症候群』が「チャンピオン」に載った時、ものすごく強烈なインパクトがありました。その一方で「チャンピオンらしい作家さんだな」と思った覚えもあります。

阿部先生の漫画家デビュー作『破壊症候群』(『大好きが虫はタダシくんの』収録)。デビュー作からしてかなりぶっとんでます。

阿部先生の漫画家デビュー作『破壊症候群』(『大好きが虫はタダシくんの』収録)。デビュー作からしてかなりぶっとんでます。

阿部 振り返ってみると「チャンピオン」は子どもの頃、「ジャンプ」の次によく読んだマンガ誌だと思います。主に『グラップラー刃牙』(板垣恵介)[注13]目当てで雑誌を友だちに読ませてもらっていて。『浦安鉄筋家族』(浜岡賢次)[注14]も連載してましたし、その頃は『覚悟のススメ』(山口貴由)[注15]や『オヤマ!菊之助』(瀬口たかひろ)[注16]とかもやってる頃。とにかく大人っぽい雑誌で、あまり少年誌としては見てなかったと思うんです。すごい雑誌だなって思って読んでました 。『京四郎』(樋田和彦)[注17]と『おまかせ!ピース電器店』(能田達規)[注18]も大好きでした。

――デビューするまでに途中であきらめそうになったりはしなかったんですか?

阿部 プロにならなくてもマンガは描けるので、あんまり悩んだことはなかったです。もともとニート気質なので、わざわざ将来を悲観したりしなかったのかもしれません。なので、今でもたいして責任感もないので「好きな表現をして生活できるって楽しいな」とか思ってテンションが上がる時があります。

――デビュー作が掲載された時は、どんなお気持ちでしたか?

阿部 ツイッターで、すぐにいろんな方から読んで下さった感想などをいただけて……そんなに反応いただけるとは想像してなかったのでうれしかったです。もちろんファンレターなどもうれしかったです。


  • 注10 『サナギさん』 2004年から2008年まで「週刊少年チャンピオン」にて連載された施川ユウキによるギャグマンガ。女子中学生のサナギさんと周囲の人々が繰り広げる、ほのぼの日常系シュールギャグ。
  • 注11 『みつどもえ』 小学6年生の三つ子、丸井三姉妹を主人公にした、桜井のりおによるギャグマンガ。2006年から2011年まで「週刊少年チャンピオン」にて連載、長期休載後、2012年から連載が再開し、現在は「別冊少年チャンピオン」にて連載中。2010年にはテレビアニメ化され、2011年にはアニメ第期も放送された。
  • 注12 『24のひとみ』 「週刊少年チャンピオン」にて連載された倉島圭のギャグマンガ。主人公は美人だが嘘つきの女性教師で、彼女の嘘に振り回される周囲の人々を描く。2007年から2008年まで深夜にテレビドラマ版が放送された。
  • 注13 『グラップラー刃牙』 1991年から1999年まで「週刊少年チャンピオン」にて連載された板垣恵介による格闘マンガ。続編として『バキ』『範馬刃牙』『刃牙道』、外伝的作品として『バキ外伝 疵面-スカーフェイス-』などがある。主人公の少年・範馬刃牙や彼の父親で「地上最強の生物」とうたわれる範馬勇次郎をはじめ、世界中の格闘家との闘いを描く。ストーリーの意外性、独特のコマ割り、印象的なセリフは多くの読者の心をつかんだ。
  • 注14 『浦安鉄筋家族』 1993年から2002年まで「週刊少年チャンピオン」にて連載された浜岡賢次によるギャグマンガ。続編に『元祖!浦安鉄筋家族』『毎度!浦安鉄筋家族』がある。千葉県の浦安市を舞台に、元気な小学2年生・大沢木小鉄と彼の家族や友だちが繰り広げるコメディ。ギャグマンガ売り上げ日本一に輝いたこともあるほど大ヒットした。
  • 注15 『覚悟のススメ』 1994年から1996年に「週刊少年チャンピオン」にて連載された山口貴由によるアクションマンガ。強化外骨格「零」という鎧をまとい、最強の格闘技「零式防衛術」を武器に戦う主人公の葉隠覚悟と、人類滅亡を企む覚悟の兄・散との激闘を描く。現在、「チャンピオンRED」にて続編にあたる『エクゾスカル 零』が連載中。覚悟完了!
  • 注16 『オヤマ!菊之助』 1996年から2001年にかけて「週刊少年チャンピオン」にて連載された瀬口たかひろによる学園コメディマンガ。少年誌としてはかなり際どいエロ描写が話題となった。
  • 注17 『京四郎』 1995年から2000年まで「週刊少年チャンピオン」にて連載された樋田和彦による不良マンガ。
  • 注18 『おまかせ!ピース電器店』 1996年から2001年まで「週刊少年チャンピオン」にて連載された能田達規によるSFマンガ。東京の下町で電器店を経営するピース一家が開発する発明品によって起こされる騒動を描く一話完結のSFコメディ。
■次回予告 阿部作品の歴史を振り返りながら、阿部ワールド誕生の秘密に迫る!

取材・構成:粟生こずえ

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