現在、絶賛公開中の映画『スーパーヒーロー大戦GP 仮面ライダー3号』。1971年から現在まで続く『仮面ライダー』シリーズの「原作者」として知られるのが、巨匠・石ノ森章太郎先生です。
高校在学中にデビュー後、その「天才」としか言いようのないセンスと画力で大きな支持を得て、『サイボーグ009』や『佐武と市捕物控』、『番長惑星』『009ノ1』『ジュン』『HOTEL』……など、あらゆるジャンルを萬画（マンガ）で網羅した、といっても過言ではない石ノ森先生。2008年には、「ひとりの著者による最も多い漫画の出版の記録」として、ギネス・ワールド・レコーズに認定もされています。
とはいえ、ライダーや『人造人間キカイダー』『秘密戦隊ゴレンジャー』『がんばれ!!ロボコン』など、石ノ森先生が原作を担当した実写作品のタイトルは知っているけど、意外と萬画をしっかりと読み込んでいる人は、意外と少ないのでは……？　もしそうなら、はっきり言って、もったいないですよ！

そこで今回は、復刊ドットコムからカラーページなどが大判で完全再現された、豪華 な「完全版」として刊行されている石ノ森作品のなかから、ぜひ読んでほしい3作品を、「石ノ森章太郎ファンクラブ」会報の編集を担当している、福田淳一さんに紹介していただきました。

[※2014年から2015年2月に発売されたマンガ単行本のなかから選出をお願いしています。]

福田淳一さんイチオシの3作品！

『サイボーグ009 [カラー完全版] 1969-77 神々との闘い編』

『サイボーグ009 [カラー完全版] 1969-77 神々との闘い編』
石ノ森章太郎 復刊ドットコム \13,800+税
（2014年11月22日発売）

虫プロ商事の「COM」に連載された『サイボーグ009』の「神々との闘い」は、12回の連載中、10回の巻頭部分がカラーで掲載されていました。
そのほとんどが色指定の2色であったため、既存の単行本では、それらはすべて単色での収録でした。

この『サイボーグ009 [カラー完全版] 1969-77 神々との闘い編』では、それらすべてを初出のカラーで初収録しています。ここに「COM」に連載された「神々との闘い」の全貌が明らかにされました。

また、「週刊少女コミック」を皮切りに、様々な雑誌に発表された『009』のインサイドストーリーも巻頭部分がカラーであり、これらも同様に初出時のカラーページが完全再現され収録されています。資料としても、たいへん貴重な1冊です。

『人造人間キカイダー 1972 [完全版] 』

『人造人間キカイダー 1972 [完全版] 』第1巻
石ノ森章太郎 復刊ドットコム \4,500+税
（2014年3月19日発売）

初出時の「週刊少年サンデー」に連載された状態を、全4巻で再現しています。
カラーページはもちろんのこと、単行本ではカットされた扉絵も完全収録されました。

さらに、単行本化の際に描きかえられたページも初出時の状態に再現されています。
なかでも、主人公であるキカイダーのライバルであるハカイダーの、テレビ版とは異なった横縞で描かれたデザインが見られるのは、本書だけになります。

さらに、ビジンダーことミエ子の、スラックス姿でのレアな初登場シーンも収録しています。

『イナズマン 1973 [完全版] 』

『イナズマン 1973 [完全版] 』第1巻
復刊ドットコム \5,000+税
（2015年1月23日発売）

『人造人間キカイダー 1972 [完全版] 』同様に、「石ノ森変身ヒーロー [完全版]シリーズ」のひとつで、カラーページや扉絵が、初出の状態で収録されています。
B5判という掲載時と同じ大型の判型で、迫力ある画面を楽しむことができます。

さらに各巻末には、テレビ制作時の貴重なデザイン画や、石ノ森作品の大ファンとして知られる漫画家・島本和彦先生の描き下ろしエッセイマンガ「イナズマンと私」が掲載されています。

ご協力者：福田淳一

「石ノ森章太郎ファンクラブ」で、会誌「風のたより」の編集を担当。

メディアファクトリーの「Shotaro World」全90巻では、構成・編集・解説に協力。なかでも『サイボーグ009』全28巻は渾身の作。
角川書店（現：KADOKAWA）の「石ノ森章太郎萬画大全集」全500巻でも、構成・編集・資料で協力し、特典で収録された『石ノ森章太郎萬画大全集を500倍楽しむガイドブック』の解説や資料も担当した。

同人誌では、「サイボーグ009研究叙説」「石ノ森章太郎研究叙説」シリーズを執筆している。