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『飛ぶ教室』第1巻 ひらまつつとむ 【日刊マンガガイド】

2015/08/14


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『飛ぶ教室』第1巻
ひらまつつとむ 復刊ドットコム ¥1,600+税
(2015年7月16日発売)


1985年「週刊少年ジャンプ」に連載、翌年に単行本化された“幻の名作”が新装版で登場!

前ぶれもなく関東に落とされた3発の核爆弾……その時、彼らが生き残ったのはまったくの偶然だった。
校庭に新設されたばかりの核シェルターに居合わせた小学生たちと女教師1人を加えた122人。

本作は、彼らが放射能の恐怖と闘いながら生きのびていく姿を描いた問題作だ。
放射能汚染を警戒し、1カ月間のシェルター籠城を経て、6年生の3人は調査のために初めて街に出る。
オサム、彼の小さな恋人のようにふるまうみっちゃん、そしてリーダー役を務めるサトルは、すさまじい光景を目の当たりにして絶句する。崩れかけたデパートの展望台から見た東京は、まさに死に絶えていたのだ――。

オサムたちが自分も泣き伏したい気持ちを抑え、年少の子たちを慰める場面には涙を誘われる。
シェルターの備蓄が尽きていくなか、これからの食料確保、生存者を探す試みなど、やらなくてはならないことは山ほどある。子どもたちは力を合わせ、果敢に立ち向かっていくのだが……。
いやはやかわいらしいキャラの絵柄に似合わぬハードな描写も多く、著者の本気を感じずにいられない。

全2巻ながら読者に大きな感動を与え、語り継がれてきた名作が、戦後70年を迎えた今年、復刊をとげたことには大きな意味がある。
これからも長く、伝えられていくべき作品である。



<文・粟生こずえ>
雑食系編集者&ライター。高円寺「円盤」にて読書推進トークイベント「四度の飯と本が好き」不定期開催中。
ブログ「ド少女文庫」

単行本情報

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