日々発売される膨大なマンガのなかから、「このマンガがすごい!WEB」が厳選したマンガ作品の新刊レビュー!
今回紹介するのは、『デスストローク:ゴッド・キラー』
『デスストローク:ゴッド・キラー』
トニー・S・ダニエルほか(作・画) 吉川悠(訳) 小学館集英社プロダクション ¥2,100+税
(2017年3月15日発売)
バットマンの好敵手といえば、犯罪王子ジョーカーや、“バットマンを殺した男”ベインが有名だが、本作の主人公であるデスストロークも彼らと肩を並べる存在。
バットマンはDCコミックスなので別の世界の話になるけど、“超最強の殺し屋”という点ではマーベルの人気者デッドプールにも通じるキャラクター。
バットマンと同様にスーパーパワーを持たない存在であるデスストロークは、最近邦訳された問題作『アイデンティティ・クライシス』でも強靭な知性と体術でもって、グリーンランタンを始めとする7人ものヒーローを同時に相手取り優勢に戦うほどの手練れ。
そんなデスストロークが、今回はなんとギリシャ神話でオリンポスの神々と対立する巨神族(タイタン)の死神ラペトゥスを殺せという依頼を受けて、ワンダーウーマンが統治する島へ乗りこむことに。
まんまと陰謀にハマりラペトゥスを解放してしまい、世界の崩壊を防ぐためにワンダーウーマンとともに巨神と戦うことになるデスストローク。
“神殺し”というデカすぎるスケールと、デスストロークの生身感の対比が味わい深い(たびたびマスクがスコーンと脱げるのがイイ)のに加えて、デスストロークの唯一の弱点ともいうべき2人の子どもたちの存在も芳ばしい。
<文・永田希>
書評家。サイト「Book News」運営。サイト「マンガHONZ」メンバー。書籍『はじめての人のためのバンド・デシネ徹底ガイド』『このマンガがすごい!2014』のアンケートにも回答しています。
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