『徒然チルドレン』第1巻
若林稔弥 講談社 \429+税
(2014年8月16日発売)
WEBサイト「徒然チルドレン」で大人気の学園ラブコメ4コマが、ついに単行本化。人気のほどは書店や通販サイトでも品薄状態が続いていることからも明らかだ。
基本的に登場人物は高校生の男女2人で、1エピソードにつき10本前後の4コママンガが展開される。途中、それぞれのエピソードの後日談にあたる「おまけ」がインサートされる構成が絶妙。
思いきって告白しようとする女子とその受け入れ態勢に悩む男子、失恋した演劇部の後輩をポジティブに激励する超ウザい先輩、卒業する天文部の先輩に告白できなくて気持ちを茶化してしまう後輩……「恋愛」をテーマに、なかなか成就しない恋をおもしろおかしく、そしてときに優しく描く作者の実力にうならされる。
個人的な推しキャラは前述のウザい先輩=香取先輩と、中盤のエピソード09「パトリシア」より登場の留学生・パトリシア。香取先輩のウザいリアクションを全力で否定する後輩・松浦の爽快さに酔いしれ、パトリシアの「私アナタノコト 寿司!!」という発言に翻弄されまくる同級生・ケイスケに爆笑する。こうなってくるともう、彼ら彼女らの恋愛成就など望まなくなってくるから不思議なもの!
WEB上で公開されてる作品は今までどおり読めて、連載も続くとのことで、これからの更新も楽しみだ。
ちなみに、スマホサイトでは「すべて読み切りなのでどの話からでもお読み頂けます」とあるが、メインキャラ以外の登場人物が再登場することもあるので、単行本ではじめから読みすすめていただきたい。
<文・富士見大>
編集プロダクション・コンテンツボックスの座付きライター。『衝撃ゴウライガン!!兆全集』(廣済堂出版)、『THE NEXT GENERATION パトレイバー』劇場用パンフレット、平成25年度「日本特撮に関する調査報告」ほかに参加する。