日々発売される膨大なマンガのなかから、「このマンガがすごい!WEB」が厳選したマンガ作品の新刊レビュー!
今回紹介するのは、『グラゼニ 〜東京ドーム編〜』
『グラゼニ 〜東京ドーム編〜』 第10巻
森高夕次(作) アダチケイジ(画) 講談社 ¥571+税
(2017年3月23日発売)
グラウンドに埋まっている銭を掘りまくれ!
年棒マニアのプロ野球選手・凡田夏之介が、在京球団・神宮スパイダースの中継ぎ投手という立場から、まさかのメジャー挑戦(挫折)を経て、日本球界の盟主・文京モップスに活躍の場を移した東京ドーム編の最新巻。
左ひじの故障から移籍2年目を棒に振った凡田だったが、3年目となる先シーズンに見事な復活を遂げる。本職の中継ぎではなく、5イニング限定の先発という変則起用で10勝0敗という、とんでもない成績をあげたのだ。こうなると来季の年棒がどれだけハネあがるのか、ワクワクが止まらない!
てなわけで、この第10巻は契約更改がメイン。凡田の代理人・ダーティ桜塚の出番である。凡田の年棒があがればあがるほど自分への実入りも多くなるのだから、ダーティもウハウハだ。凡田の昨年の年棒が8,000万+手当4,000万で1億2,000万。これをベースに考えれば2億円だって夢じゃない。はたして66%の大幅アップは達成できるのか?
とはいえ球団としても、ダーティにいわれるがまま2億円をポンと出すわけがない。「ベースはあくまで8000万。1億2000万ではない」と、さっそく主張が食い違う。さらに5位という順位を鑑みて、イニング数、防御率、1軍帯同日数などから仕事量・貢献度を算出した結果、驚きの金額を提示してくるのだ。
もちろんダーティも黙っているわけではなく、球団の姿勢をつき、人情にも訴えていく。この駆け引きだけで4話を消化するのが『グラゼニ』の『グラゼニ』たるゆえん。文字どおりのザ・銭闘。試合シーンが皆無でも圧巻のおもしろさ。来年(2018年)からBSスカパー!にてアニメ版も放送予定で、こちらも非常に楽しみだ。
一方、原作者の森高夕次がコージィ城倉名義で「グランドジャンプ」よりスタートした新連載にも要注目。ちばあきおの名作『キャプテン』『プレイボール』の正統的な続編、『プレイボール2』を手掛けているのだ。これがもう、感動的なまでの再現度&完成度で、原作ファンなら涙なしには読めない仕上がり。いやはや、森高(コージィ)の底知れない野球愛&野球マンガ愛に脱帽である。
<文・奈良崎コロスケ>
中野ブロードウェイの真横に在住。マンガ、映画、バクチの3本立てで糊口をしのぐライター。楽天イーグルスのファン。投打ともに絶好調で今季はやれそうだ!