『グラゼニ -東京ドーム編-』第1巻
森高夕次(作)アダチケイジ(画) 講談社 \571+税
(2015年1月23日発売)
年棒オタクの中継ぎ投手が、グランドに埋まっている銭(グラゼニ)をコツコツと堀り起こしていく超リアル路線のプロ野球マンガがリスタートを切る。
神宮スパイダースをリーグ優勝に導く活躍を見せたものの、年棒の折り合いがつかず、勢いでメジャー挑戦に踏み切った凡田夏之介。ボストン・ブルーソックスに入団したものの、待ち受けていたのは衝撃のマイナー契約だった。
それでも“曲がりすぎるカーブ”という新しい武器を手に入れ、オープン戦では5試合連続でメジャーリーガーを封じこめる活躍を見せたのだが……。好事魔多し。
1年前に引退した超大物投手のレジー・クレイボーがブルーソックスで現役復帰を果たすことになり、その余波を受ける形で解雇通告を受けるハメに。
契約社会であるプロ野球の厳しさを改めて痛感しつつ、凡田は帰国の途につく。
だが、捨てる神あれば拾う神あり。日本球界の盟主・文京モップスが凡田獲得に手を上げた。
この東京ドーム編では、日本一の人気球団に移籍した凡田の新たなるサバイバルが描かれる。
金欠気味のスパイダースとは違い、どこを向いても高年棒のスター選手ばかり。施設もパーティーも選手の乗っている車もグレードが一段上である。
しかし、今の凡田は年棒1800万円の名もなきセットアッパーではない。メジャーでも充分通用することを証明した、年棒8000万円の堂々たる移籍組なのだ。
いわゆる“外様”に風当りの強い球団ではあるが、凡田は1軍と2軍を往復している“生え抜き”の若い投手に格の違いを見せつける。その貫録たるや!
定食屋のユキちゃんとも晴れて夫婦となり、家賃40万円の高級マンションにも引っ越し完了。
たんまりとお宝が眠っていそうな東京ドームのマウンドを金鉱にして、凡田がどこまで上り詰めていくのか、要注目だ。
<文・奈良崎コロスケ>
68年生まれ。東京都立川市出身。マンガ、映画、バクチの3本立てで糊口をしのぐライター。中野ブロードウェイの真横に在住する中央線サブカル糞中年。
「ドキュメント毎日くん」