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【日刊マンガガイド】『グラゼニ』第15巻 森高夕次(作) アダチケイジ(画)/講談社

2014/08/04


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『グラゼニ』第15巻
森高夕次(作) アダチケイジ(画) 講談社 \571+税
(2014年7月23日発売)


たいへんなことになった! プロ野球界の銭の申し子として僕たちに野球界の金の話を伝えてきた、本作主人公・凡田夏之介が、メジャー挑戦を決めたのだ。
セ・リーグ優勝をはたしたものの、クライマックスシリーズで敗退し、日本一連覇を逃してしまった神宮スパイダース。それでもオフの契約更改では、成績上位者に大盤振る舞いが行われていた。

だが、スパイダースは金銭的に余裕のある球団ではない。大幅な昇給はVIPと呼ばれる5人だけで、あとはシブチンもいいところ。
当然のごとく保留者が続出。セットアッパーとして75試合に登板し、42ホールド、防御率1.31と、プロ入り10年目にして大ブレイクした凡田は、年棒3300万から3倍増の1億円を狙っていたが、球団の提示額は倍増の6600万止まり。
希望額との開きがあまりにも大きく、凡田は強いショックを受ける。

年棒1800万円でピーピーしていた連載初期の凡田からすれば、目の玉が飛び出るくらいの額ではあるが、プロ野球選手は“旬”の商売。「キャリアハイで終えた28歳のシーズンオフに稼がなければ、いつ稼ぐの?」といった姿勢で、保留を続ける。
そこに登場したのが、手練れの代理人、ダーティ桜塚。彼の口車に乗って、まるで球団を試すかのようにポスティングを希望する凡田であった……。

最新15巻は、“もしもメジャー志向のない選手が、ポスティングの希望を出したら?”の続編が描かれる。
あくまで駆け引きのために使ったポティング希望だったのに、なんと球団は承諾。「自分は“いらない子”なのか」と、凡田はまたしてもショックを受ける。
これで獲得球団が出なければお笑い草だが、ボストンの名門・ブルーソックスが手を上げた!

気乗りしないまま渡米した凡田は、球団本拠地のフェンウェイパークで来季から同僚になるベテラン日本人選手、コージ・ウエハラに出会う。
すぐさま凡田のモチベーションの低さを見抜くウエハラ。大先輩からの発破に発奮し、メジャーで生き抜く決意をした凡田だったが、このあと日本以上にシビアな市場原理が動き、思いもよらない悲劇が待ち受ける。

愛しのフィアンセ、ユキちゃんとの将来設計が大幅に狂い始めた凡田が、アメリカ大陸でグラゼニを掘り当てることができるか否か。
波乱の幕開けだ。



<文・奈良崎コロスケ>
68年生まれ。東京都立川市出身。マンガ、映画、バクチの3本立てで糊口をしのぐライター。中野ブロードウェイの真横に在住する中央線サブカル糞中年。
ドキュメント毎日くん

単行本情報

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