日々発売される膨大なマンガのなかから、「このマンガがすごい!WEB」が厳選したマンガ作品の新刊レビュー!
今回紹介するのは、『めしばな刑事タチバナ』
『めしばな刑事タチバナ』 第25巻
坂戸佐兵衛(作) 旅井とり(画) 徳間書店 ¥560+税
(2017年3月31日発売)
さえない中年刑事の立花が、犯人や同僚相手にB級グルメのウンチクを披露する“めしばな”マンガ。
「週刊アサヒ芸能」での連載は7年目に突入、コミックスは累計150万部を突破、2013年には怪優・佐藤二朗の主演でドラマ化もはたしている大人気シリーズだ。
第25巻のサブタイは「ホットケーキほっとけない」。
元ヤン疑惑が噴出する女性警官の村中が、ホットケーキ愛を存分に語り尽くす。
ここで注意してほしいのが、ここ数年大流行しているパンケーキではなく、あくまでホットケーキという点。
厳密な違いはないが、パンケーキは甘さ控えめで主食になりえるもの。 ホットケーキは甘くて厚みのあるオヤツ向きのもの。パンケーキブームの裏ですっかり影が薄くなってしまったホットケーキに光を当てるべく、「素朴な魅力を見直そう」と村中が力説する。
この村中女史、ホットケーキを焼く前のドロドロを指ですくってなめるのがヤメられないという好事家(こうずか)。 この“生食べ”、けっこう愛好家が多いらしい。
一方、粉モノつながりで、立花と同僚の志波は延々とお好み焼き談議。おなじみ広島焼き論争から、マヨネーズ不要論、お好み焼き定食の是非まで。こだわりの強すぎる関西人の志波を相手に、立花が膨大なウンチクで対抗する。
それにしても「お好み焼きは人生そのもの」とまで豪語する志波を見ていると、「大阪や広島でお好み焼き論を展開するのだけは、絶対にヤメておこう」という気持ちになりますな〜。
終盤にはパンケーキとお好み焼きの深い関係性もひも解かれ……。今回も目からうろこの“めしばな”が満載です。
<文・奈良崎コロスケ>
中野ブロードウェイの真横に在住。マンガ、映画、バクチの3本立てで糊口をしのぐライター。