365日、毎日が何かの「記念日」。そんな「きょう」に関係するマンガを紹介するのが「きょうのマンガ」です。
5月10日は伊達小次郎の命日。本日読むべきマンガは……。
『政宗さまと景綱くん』 第1巻
重野なおき リイド社 ¥571+税
今日5月10日は、伊達小次郎の命日とされている。
伊達小次郎とは戦国大名・伊達政宗の弟であり、幼名を竺丸といった。
天正18年(1590年)4月7日(現在の5月10日)、数え13歳の若さで小次郎は急死した。一説には、義姫(政宗と小次郎の母)と小次郎が政宗暗殺を企んだところ、その計画が事前に露見し、政宗が小次郎を誅殺したとも伝えられている。その説に則るのであれば、今日5月10日は、「伊達小次郎が亡くなった日」ではなく「伊達政宗が弟・小次郎を殺害した日」となるわけだ。
『政宗さまと景綱くん』は、伊達政宗とその家臣・片倉景綱の主従関係を主テーマにした4コママンガである。著者の重野なおきはアニメ化もされた『信長の忍び』(現在2期が放映中)をはじめ、『信長の忍び外伝 尾張統一記』や『軍師 黒田官兵衛伝』『真田魂』など、戦国時代の人物の史実や逸話をコミカルな評伝4コマにまとめる名手。本作もそのシリーズに連なる作品といえる。
本作の政宗は初めは気弱だったが、患った右眼を摘出してからは陽気で勝ち気な性格に豹変。料理好きな面も見せる。
かたや景綱は、ドSな傅役(教育係)として政宗を盛り立てる。これらのキャラづけは、あくまで史実や逸話に準拠しているので、歴史好きほどニヤリとするデフォルメだ。
本作でも義姫は政宗を疎んじており、政宗を廃嫡して小次郎に家督を継がせようと画策。義姫の影に隠れるように小次郎は登場するが、やがてこの兄弟に訪れる運命を思うと胸が痛む。
第1巻では政宗の元服、婚姻、初陣、そして1584年までの家督相続までが描かれており、運命の天正18年(1590年)は次巻以降で語られることになる。
第1巻では影の薄かった小次郎だが、本作ではどのような「5月10日」を迎えるのか、その動向に注目していきたい。
<文・加山竜司>
『このマンガがすごい!』本誌や当サイトでの漫画家インタビュー(オトコ編)を担当しています。
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