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9月14日はイチローがプロ野球年間安打記録を更新した日 『ストッパー』を読もう!【きょうのマンガ】

2014/09/14


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『講談社漫画文庫 ストッパー』第1巻
水島新司 講談社 \650+税


1994年の9月14日は、イチロー(当時オリックス)選手がシーズン192本目のヒットを記録し、プロ野球の年間安打記録を44年ぶりに塗り替えた日だ。シーズン中には打率4割に挑戦(最終成績.385)し、日本中がイチローの一挙手一投足に注目した。

イチローの偉業達成に先立つこと5年、1989年に「打率4割への挑戦」を明確に打ち出したのがウォーレン・クロマティ(当時読売)だった。前年に怪我をしてシーズンなかばでリタイアしたクロマティは、独特なクラウチング・スタイルのフォームを改め、ホームランバッターからアベレージ・ヒッターへと転向してヒットを量産。最終的に.378の打率を残した。
この年、水島新司ワールドでクロマティと首位打者争いをしたのが、『ストッパー』の主人公・三原心平である。本作はセ・リーグに東京メッツと大阪ガメッツがある『野球狂の詩』の外伝的な世界観で、『あぶさん』のように実在のプロ野球のシーズンと並行して作品世界の時間も経過していく。

主人公・心平は、もともとは投手として大阪ガメッツに入団し、連続試合セーブの日本記録を打ち立てた。しかし、二軍落ちのあいだにコンバートされて俊足好打の強肩外野手になると、外野手と救援投手(左右両投げ)の二足のわらじを履くことになる。1番打者としての心平は、打ち損ないの凡打さえ俊足でヒットに変えてしまい、まるでイチローの登場を予言していたかのようなプレースタイルなのだ。
本作では、主人公・心平がワセリンや紙ヤスリを使った不正投球をしたり、用具係を買収して「飛ばないボール」を使ったりと、かなりダーティなネタもてんこ盛り。今年の夏の甲子園で話題となったスローボールも、「超遅球」という名前で登場する。心平は決め球として活用しており、東京メッツ・岩田鉄五郎の「ハエ止まり球」とスローボール対決を繰り広げるのだ。また、物語冒頭から心平が「遠大な計画」をほのめかし、それがストーリーの推進力となっているのもポイント。

ちなみに、現在「週刊少年チャンピオン」で連載している水島野球キャラ総出演の『ドカベン ドリームトーナメント編』では、三原心平は阪神タイガースの1番打者として登場し、左右投げの左右打ちと紹介されている。
阪神には藤村甲子園と“北の狼”こと火浦健がいる。はたして、心平の登板機会はあるのだろうか?



<文・加山竜司>
『このマンガがすごい!』本誌や当サイトでのマンガ家インタビュー(オトコ編)を担当しています。
Twitter:@1976Kayama

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