日々発売される膨大なマンガのなかから、「このマンガがすごい!WEB」が厳選したマンガ作品の新刊レビュー!
今回紹介するのは、『ハルモヤさん』
『ハルモヤさん』 第2巻
まんしゅうきつこ 新潮社 ¥580+税
(2017年5月9日発売)
ブログ「まんしゅうきつこのオリモノわんだーらんど」でキラ星のごとく登場し、ネット住民の爆笑と共感をかっさらった、まんしゅうきつこ。
その著者が手がけたマンガ『ハルモヤさん』がついに完結を迎えた。
30歳・処女で埼玉県熊谷市で実家暮らしをしているハルモヤさん。
薄給ながらも図書館の嘱託職員として働く彼女は、このままじゃダメだという焦りを抱きながらも、何も起こらないぬるま湯のような平坦な日々に浸りきっている。
しかし、唯一の親友・サキさんに彼氏ができて焦りのあまり、出会い系サイト「おかっぱマニア」に登録してしまい――。
“幸せのカタチ”なんて、人によって違うし、やっと見つけたと思った瞬間に見えなくなってしまうような曖昧なものだけれど。
それでも自分なりの幸せを掴みたくて、たとえミジメな結果に終わったとしても、結局何も変わらなくても、自分にとっての一歩を踏み出したハルモヤさんに拍手を贈りたくなる!
痛々しくも飄々とユーモラスな絵と語り口でホッコリさせてくれるハルモヤさんワールドは、著者の強烈すぎる一連のノンフィクションとは180度違うようで、やっぱりハルモヤさんは著者の分身でもあるわけで。
またいつか会える日を楽しみに……。
巻末には『ハルモヤさん』の舞台となった埼玉県熊谷市を散策するエッセイマンガも収録。
熊谷B級グルメもたまらん感じで、ハルモヤさんの原風景を訪ねに行きたくなる!
<文・井口啓子>
ライター。月刊「ミーツリージョナル」(京阪神エルマガジン社)にて「おんな漫遊記」連載中。「音楽マンガガイドブック」(DU BOOKS)寄稿、リトルマガジン「上村一夫 愛の世界」編集発行。
Twitter:@superpop69