日々発売される膨大なマンガのなかから、「このマンガがすごい!WEB」が厳選したマンガ作品の新刊レビュー!
今回紹介するのは、『ぼくたちは勉強ができない』
『ぼくたちは勉強ができない』 第1巻
筒井大志 集英社 ¥400+税
(2017年6月2日発売)
「当為と意欲があるが、能力がない。
当為と能力があるが、意欲がない。
意欲と能力があるが、当為がない。
即ち、
なすべきことを欲しはするが、それをなし得ない。
なすべきことをなし得るが、それを欲しない。
欲し且つなし得るが、何をなすべきかを知らない。」
……というのは、ゲーテ先生の言葉だが、人間、“やるべきこと”と“やりたいこと”と“できること”が一致するなんて幸運、そうそうないのである。
筒井大志『ぼくたちは勉強ができない』は、そんな“やりたいこと”と“できること”が完璧に乖離してしまった女の子たちのマンガだ。
努力型秀才の主人公・唯我成幸(ゆいが・なりゆき)は、なぜか学内で天才と名高い2人の美少女の教育係を命じられる。
文系の天才・文乃と理系の天才・理珠は、それぞれ何を思ったか、自分の適性とはまったく逆、壊滅的に苦手な理系/文系を進路として希望していたのだ。
さらにそこに3人目の“生徒”である、勉強嫌いの体育会系の武元うるかも加わってと、理系/文系/体育会系と勉強ができない3人の少女の1年間を描くラブコメディ。
著者の筒井大志は『ニセコイ』公式スピンオフ『マジカルパティシエ小咲ちゃん!!』を手がけていた漫画家。
かわいい絵柄でありながら肉感も充分。
うるかちゃんの日焼けとか、あと競泳水着の食いこみ直すところとかがたいへんすばらしいと思いました。
第1巻ではまだまだ成幸は先生役の意識が強いみたいだが、今後、3人の美少女との関係がどんなふうに進展していくか楽しみである。
<文・前島賢>
82年生、SF、ライトノベルを中心に活動するライター。朝日新聞にて書評欄「エンタメ for around 20」を担当中。
Twitter:@maezimas