『ミミクリ』
ai7n 太田出版 \880+税
(2014年9月18日発売)
集められたたくさんの、全裸の少女たち。彼女たちは手を取り合い、舌をからめ愛し合っている。
名もない少女たちは、腹を割かれ、串刺しにされ、首をもぎ取られ、潰される。
これじつは、食品が人間に食べられるときの様子を少女に置き換えたもの。
たとえばとうもろこしの粒一つひとつが少女だとしたら、並んでいる粒を歯でこそぎとるように、少女が一気に腹から切断される。内臓も飛び散る。
さながら地獄絵図だ。ああ悪趣味だ。楽しいな。
このマンガの本当にすごいところは、中盤以降、なぜ食べ物が少女として描かれているかが判明してからの展開にある。
序盤は少女食の展開が続き、ネタとしてのエログロポップ・コミックの様相を呈している。食べ物だとわかると、ゴア表現が楽しくすらある。
ところが、少女の姿が見える人物が登場し、何が起きているのかは突如明確化していく。人間が食べているものはいったいなんなのか?
「食べる」ことは欲求を満たすエロティックな行為だ。だからあえて少女で表現され、彼女たちは性欲に溺れる。
また「食べる」ことは命を奪うグロテスクな行為だ。だから少女たちは殺される。
エグい表現が多く、悪趣味な作品なのは間違いない。しかし、ぜひとも一気に最後まで読んでみてほしい。
今、食マンガブームだからこその、アンチテーゼともとれるマンガだ。
<文・たまごまご>
ライター。女の子が殴りあったり愛しあったり殺しあったりくつろいだりするマンガを集め続けています。
「たまごまごごはん」