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【日刊マンガガイド】『ムシヌユン』第1巻 都留泰作

2014/08/14


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『ムシヌユン』第1巻
都留泰作 小学館 \648+税
(2014年7月30日発売)


昆虫博士になる夢を果たすべく大学院試験を受け続け、院浪5回の末にまた玉砕。ただただ愚直に勉強だけに力を注いできたけど要領悪すぎ、そしてコミュニケーション能力は限りなくゼロに近い、史上最ヘタレの主人公・上原秋人、27歳。
仕送りを断たれた今、バイトで生きていく生活能力もないので実家を頼って沖縄の与那瀬島へ渡ったものの、むげに放り出されて行くところはなし。

そんな彼をよそに、国内で唯一“タンゴ星団”が見られるという、この日本最南端の島には、観光客が詰めかけている。
お祭りムードにわくなかを、金もなく知り合いもなく、人を頼る手立てもなく、上原はひとりうろつきさまようばかり。

その夜、大流星群が出現した瞬間に、上原は異形の虫に出会う。
その虫に手を伸ばすと、彼の身体には得体の知れない異変が起こっていた。そして、どうやら島も、なんらかの異常事態に見舞われているらしい!?

細密に描きこまれた南の島の風景、祭りに浮かれる人々の表情から立ちのぼる熱気と妖しさに胸が躍る。そして、いろいろな意味で「この世にひとりぼっち」な、上原のモノローグのキモおもしろさがたまらない怪作である。
この先、物語がどんな方向に転がっていくのか、予想もつかない超展開。とりあえず1巻を読み終わると……いろいろあって衣服を失った、上原の白ブリーフ姿が目に焼きついて離れません!



<文・粟生こずえ>
雑食系編集者&ライター。高円寺「円盤」にて読書推進トークイベント「四度の飯と本が好き」不定期開催中。
ド少女文庫

単行本情報

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