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今回紹介するのは、『ルパン三世 単行本未収録作品集』

『ルパン三世 単行本未収録作品集』
モンキー・パンチ 双葉社 ￥1,800+税
（2017年7月28日発売）

アニメでもおなじみの『ルパン三世』。
本作は、これまで刊行されてきた『ルパン三世』『新ルパン三世』の単行本（現在刊行中の双葉文庫コミックス）に収録されておらず、これまで幻の作品といわれていた作品を含む全14篇を集めた1冊。

収録作は1970年に発表された「ルパン三世外伝」から、1985年の「女だけの刑ム所」まで。
『ルパン三世』の連載がスタートした1960年代の線の細い画風から、アニメ映画化もされた1980年代のややコッテリとした表現まで、作品の雰囲気は幅広い。
ただ一貫して内容は大人向けで比較的シリアス。♂♀記号を使ったセックスシーンの描写や、五ェ門が相手の頭蓋を輪切りにするなどのややグロ表現もあり。

単行本に収録されてこなかった作品を集めているとはいえ、味のある作品が散見される。
さきほど触れた、1970年の「ルパン三世外伝」は、エピソードが始まった途端に銭形警部が犯罪者の自爆によって絶命。ルパンがその墓を訪れ、復讐を誓うという胸が熱くなるシーンがある。
「本当はあんたに 会うのを楽しみにしてたんだ…」
と変装したルパンがつぶやく。

続いて収録されている「ルパン三世 スーパースター」は、「この世に残っている美術品はすべてニセ物」であり、本物はルパンが自分の倉庫に保管していたが、ある事件ですべて焼失してしまう、という話。

スピンオフ的な性格の強い「銭さんナンセンス」は、タイトルのとおり銭形警部を中心にしたナンセンスショートショート集。

そのほか、映画版のようなスケールで西域シルクロードにある花果山で武道の奥義書を狙う「俺ッ流派無し…!!」も印象的だ。「流派無」で「ルパン」と読ませるのがいい。
長老として華果山の指導者の地位にある人物の意外な正体はいかに…？

3人の女性がそれぞれ登場する「SEXYルパン三世」の連作もシブい。
サンフランシスコのバーでバーテンダーをやったり、娼婦を助けようとしたり、知りあったばかりなのに海でバカンスを楽しんだりと、彼女たちに見せるルパンの表情の多彩さはまさに変装の名人の面目躍如といったところ。

＜文・永田希＞
書評家。サイト「Book News」運営。サイト「マンガHONZ」メンバー。書籍『はじめての人のためのバンド・デシネ徹底ガイド』『このマンガがすごい！2014』のアンケートにも回答しています。
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