日々発売される膨大なマンガのなかから、「このマンガがすごい!WEB」が厳選したマンガ作品の新刊レビュー!
今回紹介するのは、『まんが版 武士の歴史 お侍の誕生と現在』
『まんが版 武士の歴史 お侍の誕生と現在』
ほりのぶゆき 小学館 ¥1,000+税
(2017年7月26日発売)
一見、懐かしの学習マンガかと見まがう表紙だが、中味はギャグマンガ!
『ちょんまげどん』を始め時代劇ギャグマンガを描き続けるほりのぶゆきの、お侍マンガの決定版。しかし……タイトルの「お侍の誕生と現在」っておかしくない!?
そう、本作では「ほりのぶゆき史観」の独特な考察により、日本人のなかに脈々と根づく侍スピリットをたどる長い物語なのである。
いかにして武士は生まれたか。そして武士が大活躍した時代を経て、江戸の終焉とともに武士なる存在は姿を消すわけだが……。
どっこい現代人のなかにも生きるお侍の魂をしつこく拾いあげて(こじつけて?)みせるのが“ほりのぶゆき史観”というわけだ。
歴史上の人物も登場するし史実に忠実な部分もあるのだが、著者の「武士ってじつはこうだったんじゃない?」というオリジナルの解釈がいちいち振るっていてニヤニヤ。
微に入り細にうがつ渾身の屁理屈に爆笑しつつねじ伏せられるのだ。
著者は今年でデビュー30周年で、今夏、記念キャンペーンを開催。
本作にくわえ『まんが版 武士の歴史 お侍の隆盛と衰退』『阿鼻叫喚!!ゆるふわ地獄』、現代に転生した織田信長がテレビゲームに勤しむ『信長の理望~ん 創造』の4タイトルが連続刊行されているので要チェック!
<文・粟生こずえ>
雑食系編集者&ライター。高円寺「円盤」にて読書推進トークイベント「四度の飯と本が好き」不定期開催中。
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