日々発売される膨大なマンガのなかから、「このマンガがすごい!WEB」が厳選したマンガ作品の新刊レビュー!
今回紹介するのは、『マンガで分かる! Fate/Grand Order』
『マンガで分かる! Fate/Grand Order』 第1巻
リヨ(画)KADOKAWA TYPE-MOON(作) ¥926+税
(2017年8月2日発売)
「さあいよいよ FGOが 始まりますよ 先輩 まずは チュートリアル で遊び方を 勉強しましょう」
「チュートリアル? いいよ別にスキップして チュートリアル ってだいだい どこでも同じだし」
ソーシャルゲームの世界でも有数のヒット作となった『Fate/Grand Order』。
プレイしていないという読者の方も、SNSなどでその盛り上がりの一端に触れたことくらいはあるのでは。
本作『マンガで分かる!Fate/Grand Order』は、その公式サイトで連載されたマンガを単行本化したもの。ゲームの魅力をマンガ形式でわかりやすく紹介する……というのがおそらくこうしたマンガの役目はずだが、本作はまったく違った。
主人公の通称「リヨぐだ子」は、ゲームの説明をまったく無視して「ガチャを回させろ」と要求する廃課金勢であり、すきあれば女性キャラを脱がそうとする。
運営に対しメンテの多さやレベル上げの面倒くささに対して容赦ない毒舌を浴びせかけ、執拗に宝具演出(いわゆる必殺技。派手だが演出が長いため周回プレイの妨げとなる)のスキップ機能実装を要求、うどん粉から新たなキャラクターを生み出す(先月、ゲーム本編に実装された)など、やりたい放題の暴挙を繰り広げる。
間違っても、「『FGO』って最近人気っぽいしどんなゲームか知りたい」という方は読んではいけない。
タイトルに反してほとんど何もわからないから。
けれども「ギリギリな毒舌を運営に対して吐きまくる希有な公式マンガ」として、その綱渡りなブラックユーモアを楽しむのなら、ゲームをやってない方にもおすすめできる……かもしれない。
<文・前島賢>
82年生、SF、ライトノベルを中心に活動するライター。朝日新聞にて書評欄「エンタメ for around 20」を担当中。
Twitter:@maezimas