9月10日は世界自殺予防デー。本日読むべきマンガは……。
『プラチナエンド』 第1巻
大場つぐみ(作) 小畑健(画) 集英社 ¥450+税
本日9月10日は、世界保健機関 (WHO)が制定した国際デーのひとつである「世界自殺予防デー」。
これは2003年に開かれた世界自殺予防会議の初日に宣言されたもので、「自殺に対する注意・関心を喚起し、自殺防止のための行動を促進する」ことを目的としている。
ご存じの方も多いとは思うが、日本の自殺者数はほかの世界諸国と比べて大きなものとなっている。
その背景にはひと言ではとてもいい尽くせない問題が絡みあっている訳だが、とりわけ日本では若年層の自殺率が高いのも統計上の特徴。なんともやりきれない話である。
さて、そんなご時世が反映されたマンガ作品のひとつとして取りあげておきたいのが『プラチナエンド』。
『DEATH NOTE』『バクマン。』に続き、大場つぐみ(作)と小畑健(画)がタッグを組んだ本作は、『DEATH NOTE』とは対照的に「幸せ」がテーマとされる……が、それが一筋縄ではいかないことは容易に難くないだろう。
あらためて簡単にストーリーを紹介しておくと、苛烈な虐待を受けて育てられた主人公・架橋明日(かけはし・みらい)は、中学卒業の日に投身自殺を実行。
しかし、地面に激突する寸前に現れた天使によって命を救われたと同時に、特別な力を与えられる。それによって否が応でも「13人の神候補」のひとりとなった明日は、やがて神の座をめぐる争いに巻きこまれ──というもの。
そして注目しておきたいのが、明日もそうであったように、神候補に選ばれた者の多くは自殺志願者であったということ。
今のところ明かされているのは「生きる気力を無くした者」が候補者選定の基準だということだが、作中で「メトロポリマン」に扮してほかの神候補を殺害しまくる謎の人物(正体は判明したが、未読の方のためにあえて伏せておく)も、おそらくは絶望の淵にあった者だと思えば、さらに彼がいかなる人物なのか興味が増すというものだろう。
もちろん、いたずらに興味本位で「自殺」を扱っているわけではないことはここまでの展開で明らかではあるが、今後それがどのようにドラマに関わってくるのか注目していきたい。
<文・大黒秀一>
主に「東映ヒーローMAX」などで特撮・エンタメ周辺記事を執筆中。過剰で過激な作風を好み、「大人の鑑賞に耐えうる」という言葉と観点を何よりも憎む。