『彼女とカメラと彼女の季節』第5巻
月子 講談社 \552+税
(2014年9月22日発売)
二眼カメラを携えたクールな美少女・ユキに、強く惹かれるあかり。そして、あかりに想いを寄せる凛太郎。高校3年生の揺れ動く感情を鮮烈に描いた、彼女たちの日々がついに完結をみた。
ユキは、あかりが自分のことを好きだと知りつつ、あかりに凛太郎とつきあうことを進めたり。かと思えば、ユキは幼なじみである凛太郎にそれ以上の感情を持っているような表情が見てとれたり。
「いったいユキは何を考えてるの!?」「この三人はどうなるのが一番いいんだろう?」とモヤモヤしていた気持ちはちゃんと回収されるのでご安心ください!
自分の気持ちとは裏腹なことを言ってしまう、気づかずに自分をごまかしてしまう……その理由がさまざまな場面でしっかり描かれ、ここまでの三角関係の迷走ぶりがスルスルとほどけていく。
おとなしそうに見えてまっすぐなあかりの強さ、凛太郎の清々しい男らしさ、そしてエキセントリックな行動で2人を振りまわしてきた月子の内面が明かされていく情景に、心を揺さぶられっぱなしの最終巻だ。
<文・粟生こずえ>
雑食系編集者&ライター。高円寺「円盤」にて読書推進トークイベント「四度の飯と本が好き」不定期開催中。
「ド少女文庫」